2012年 08月 03日
小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO22
.......眠れる悪魔............
すでに日が沈み始め、メイルーン軍とガルガンドイドの海賊船団は激しい戦いを繰り広げていました。
サウンディッドの援軍は海賊船を取り囲み、メイルーンの沿岸から逃さないように包囲しています。
逃げ場が無くなった海賊船らは、海賊王ロラージュの指示が全く無い事態にあせりだし、
四方八方へとめちゃくちゃに砲撃してきました。
港も町も砲撃でやられ、あちこちが崩れかけています。
砦からも反撃はしているのですが、逃げ足の速い海賊船はちょこちょこと逃げ回り、
時間だけが経って行きました。
メイルーンの兵士達にも疲労の色が出ています。
このまま夜が更ければ、海賊共は見張りの隙をついて島に上陸しようとするでしょう。
策を練ろうと、月丘砦にはカルサス王子他、9名の参謀が集まっていました。
「このままサウンディット軍の協力を得て、海戦に持ち込むのが妥当でしょう」
「我らの軍船はすでに海に沈んでしまったのですぞ!サウンディッド軍だけに戦わせる訳にはいかないではないですか?」
「誰か何か良い案は無いか?」
「こんな時にソレイユ殿はどこに行ったのだ!!」
意見はまとまらず、苛立ちだけがその場を行き来していました。
「王子様。港に巨大な火の玉が浮いています!!」
見張りが報告に来ました。
「何?どこだ!!」
カルサスと参謀達は港の見える塔の上に移動しました。
本当です。青白く燃えているような巨大な玉が、湾の中心部分に浮いていました。
真っ暗な海の上に浮かぶ青白い光は鬼気迫り、
余りの薄気味の悪さにカルサスは寒気を覚えました。
青白く発光している玉は呼吸をしているように蠢いています。
玉の周りには時々小さな火花が散り、不気味なエネルギーが感じられました。
カルサス達がこの玉を目撃していた同じ時に、ガルガンドイドの海賊達もこの玉を確認していました。
そして、一斉に玉に向かって砲撃を始めました。
ドカーン!ドカーン!!
砲弾は玉に向かって集中着弾しましたが、玉は光の強さが増しただけでした。
「お、おい。なんだ?あれは??化け物か??」
「逃げろ!この島から離れるんだ!!」
この事態に慌てた海賊達は、てんでに逃げ出そうと船を外洋に向けました。
そこにサウンディッド軍が包囲しているのは知っていましたが、薄気味の悪い怪物よりはましです。
ガルガンドイドの船団が逃げ出そうと後ろを向けたその瞬間、青白い鬼火の玉が真っ赤に燃え上がりました。日の沈んだ真っ黒な海を一瞬赤く染めると、玉から出た赤いエネルギーが船団に向かい湾全体を覆う勢いで発射され、逃げ惑う全ての海賊船に放射されました。
赤黒い炎が一斉に立ち上がり、爆発的な勢いで船が燃え上がります。
海賊共の怒号とも悲鳴ともつかぬ叫び声ががあちこちで聞こえ、
体に移った火を消そうと海に飛び込む音がしました。
一瞬で海賊船は壊滅し、あちこちで水に浮かぶろうそくの火のように船の残骸が漂っています。
海に飛び込んだ海賊達を取り巻く火はどうやっても消えず、生きたまま焼かれ、叫び声とともに真っ黒に燃え尽きて行きました。
この地獄絵図にカルサスはなすすべもなく、ただ魅入られた様に鬼火から目を離せずにいました。
「あ、あれは何なのですか?カルサス様」
参謀の一人が震えながら言いました。
鬼火の中に何者かが浮いています。
眠っているような男の影?赤い髪の...。
「ソレイユ殿??」
「カルサス様。女王様が今、砦に御着きになられました。こちらに急ぎ来られるそうです」
歩哨の一人が報せに来ました。
.............続く。...........
BY-RUBY^^
すでに日が沈み始め、メイルーン軍とガルガンドイドの海賊船団は激しい戦いを繰り広げていました。
サウンディッドの援軍は海賊船を取り囲み、メイルーンの沿岸から逃さないように包囲しています。
逃げ場が無くなった海賊船らは、海賊王ロラージュの指示が全く無い事態にあせりだし、
四方八方へとめちゃくちゃに砲撃してきました。
港も町も砲撃でやられ、あちこちが崩れかけています。
砦からも反撃はしているのですが、逃げ足の速い海賊船はちょこちょこと逃げ回り、
時間だけが経って行きました。
メイルーンの兵士達にも疲労の色が出ています。
このまま夜が更ければ、海賊共は見張りの隙をついて島に上陸しようとするでしょう。
策を練ろうと、月丘砦にはカルサス王子他、9名の参謀が集まっていました。
「このままサウンディット軍の協力を得て、海戦に持ち込むのが妥当でしょう」
「我らの軍船はすでに海に沈んでしまったのですぞ!サウンディッド軍だけに戦わせる訳にはいかないではないですか?」
「誰か何か良い案は無いか?」
「こんな時にソレイユ殿はどこに行ったのだ!!」
意見はまとまらず、苛立ちだけがその場を行き来していました。
「王子様。港に巨大な火の玉が浮いています!!」
見張りが報告に来ました。
「何?どこだ!!」
カルサスと参謀達は港の見える塔の上に移動しました。
本当です。青白く燃えているような巨大な玉が、湾の中心部分に浮いていました。
真っ暗な海の上に浮かぶ青白い光は鬼気迫り、
余りの薄気味の悪さにカルサスは寒気を覚えました。
青白く発光している玉は呼吸をしているように蠢いています。
玉の周りには時々小さな火花が散り、不気味なエネルギーが感じられました。
カルサス達がこの玉を目撃していた同じ時に、ガルガンドイドの海賊達もこの玉を確認していました。
そして、一斉に玉に向かって砲撃を始めました。
ドカーン!ドカーン!!
砲弾は玉に向かって集中着弾しましたが、玉は光の強さが増しただけでした。
「お、おい。なんだ?あれは??化け物か??」
「逃げろ!この島から離れるんだ!!」
この事態に慌てた海賊達は、てんでに逃げ出そうと船を外洋に向けました。
そこにサウンディッド軍が包囲しているのは知っていましたが、薄気味の悪い怪物よりはましです。
ガルガンドイドの船団が逃げ出そうと後ろを向けたその瞬間、青白い鬼火の玉が真っ赤に燃え上がりました。日の沈んだ真っ黒な海を一瞬赤く染めると、玉から出た赤いエネルギーが船団に向かい湾全体を覆う勢いで発射され、逃げ惑う全ての海賊船に放射されました。
赤黒い炎が一斉に立ち上がり、爆発的な勢いで船が燃え上がります。
海賊共の怒号とも悲鳴ともつかぬ叫び声ががあちこちで聞こえ、
体に移った火を消そうと海に飛び込む音がしました。
一瞬で海賊船は壊滅し、あちこちで水に浮かぶろうそくの火のように船の残骸が漂っています。
海に飛び込んだ海賊達を取り巻く火はどうやっても消えず、生きたまま焼かれ、叫び声とともに真っ黒に燃え尽きて行きました。
この地獄絵図にカルサスはなすすべもなく、ただ魅入られた様に鬼火から目を離せずにいました。
「あ、あれは何なのですか?カルサス様」
参謀の一人が震えながら言いました。
鬼火の中に何者かが浮いています。
眠っているような男の影?赤い髪の...。
「ソレイユ殿??」
「カルサス様。女王様が今、砦に御着きになられました。こちらに急ぎ来られるそうです」
歩哨の一人が報せに来ました。
.............続く。...........
BY-RUBY^^
by emeraldm
| 2012-08-03 20:45
| 小説-赤髪のメテオール外伝