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rubyの好きなこと日記

父と母の物語。。NO10。....古文書....


 メテオールは宿の部屋にいました。エグランティーヌ姫に渡された古文書は巻物で、羊の皮をなめして出来ていました。彩色された絵と、文章で出来ています。
 その古文書を眺めながら、メテオールはなぜか難しい顔をしていました。
 古文書のおおまかな内容は次のようなものでした。。

 英雄ソレイユは、エストック山脈の向こう側。サージュ王国のリュンヌ大帝より使わされた、ドラゴン討伐隊の指揮者であった。サージュ王国の魔法学校を出たばかりの若者であったが、王国を近隣の諸外国の攻撃より守り、さらに領土を広げた功績を買われ、リュンヌ大帝の右腕とまで言われるようになった魔法使いである。
 リュンヌ大帝はエストック山脈のこちら側、竜の王国をも手に入れたいという野望があった。竜王国には大量の金が取れるとの噂があったからだ。
 若干20歳のこの若者は、太陽神のような明るい金髪と、美しい容姿を持っていたが、魔法使いとしても天才的な才能があった。
 一方。竜王国は、白い竜。女帝オーヴが統治していた。オーヴは生まれながらの3目で、強い予言と魔法の持ち主だった。
 双方、一歩も引かぬ大戦争が始まった。竜達はその巨体と爪、飛翔力。炎によって、軍に襲い掛かった。ソレイユは魔法の力で炎を封じ、飛翔と力には巨大な大砲で応じた。時には巨人を出現させ、竜を空中で捕まえ叩き落した。
 このままでは双方が消滅してしまいかねないほどの戦だった。
 けれど、ソレイユは人間だった。ソレイユは疲れが出ると砦にこもり、しばらくの間出てこない。
 オーヴは賢い女帝だった。それを見逃すはずは無い。3つ目の額にある目で、オーヴはこっそり、一人で砦にこもっているソレイユの姿を思い浮かべた。。
 魔法使いの命の源。力の源泉。これをチャージしなければ、人であるソレイユに魔法は使えない。その方法を盗み出そうとしたのだ。
 ソレイユは魔方陣を描くと、その中で、日の神に祈り、光り輝く小さな太陽を飲み込んだ。いや、飲み込もうとしたところを、人の姿をしたオーヴが現れ、彼をさらって行った。
 戦況は変わった。ソレイユのいなくなった人間の軍隊なぞ、赤子の手をひねるようなものだった。
 軍は壊滅した。生き残った者たちはなんとかエストック山脈を越えて、サージュ王国にたどり着いた。ソレイユはすでに死んだものと思われていた。
 ところが一年もしないうちに、彼がサージュ王国に現れたのだ。黄金の髪が真っ赤にそまり、人相が変わっていた。美しかった柔和な顔がすっかりやせこけ、年を取った様で、するどく、苦悶の表情をたたえていた。
「竜は死んだ。」
 彼はそう言うと、表舞台から退いた。王がどんなに懇願しようと、表に表れようとはしなかった。ただ、魔法の力は増したようで、王国に本当に危機が来た時にだけ、彼は無言で現れ、敵を倒し、又、無言でいなくなった。 その戦いぶりは氷のようだったという。
 人々は、あの赤い髪は竜の血で染まり、彼は竜王の力を手に入れたと噂した。
 竜の王国には竜の影もなくなり、リュンヌ大帝の息子の一人。エスポクールが王国を築いた。そして、その名をエストラゴン王国と名づけた。

 さて、難しいなぞがここにある???
 ソレイユがさらわれ、何故命が助かり、竜がいなくなったのか?
 赤い髪。竜の血で染められたと言い伝えられているこの赤髪。確かにこの髪を持つものは普通の者より魔法の力が強い。何故ソレイユの金髪が赤い髪となったのか?魔法の力が増したのか??
 いったい竜は今までどこにいたんだろう??まず、それを探らねば。

 メテオールは思案顔で巻物をじっと見つめていました。
..................続く。。。。
by emeraldm | 2010-07-29 18:39 | 小説- 人と竜の結婚 (1)

突然の乳癌ステージ4の告知から人生計画が変わってしまったRUBYのブログです。少しでも誰かの役に立てるように、闘病生活を綴ります。

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