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NO16。......贈り物......


 プレーリーの部屋は昔と同じにこじんまりとしていて清潔で、居心地の良い場所でした。
 アルコールランプの淡い光が金色にともり、部屋を暖かく照らしています。なぜか、窓辺には水しか入っていない小さな水槽が置いてありました。
 プレーリーはベット脇に腰掛けて、メテオールは窓際に置いてある木の椅子に座っていました。
 彼の唯一つの趣味は杖収集。部屋の壁には色とりどりの、色々なデザインの杖が所狭しと飾ってありました。エムロード商店街に一番古くからある骨董店。創業600年以上と言われているエカイユ骨董店は彼の子供の頃からの行きつけの店で、お小遣いが出来るとエカイユに行き珍しい中古の杖を買っていたようです。
 夏休みに何回かメテオールも連れて行ってもらった事がありましたが、そこには魔法の杖も普通の杖も何百と在庫があって、小さいので10cm前後大きいので2mほどもある杖が大壷やショーケースに並べられ、杖よりももっと神秘的で何に使うか分からない世界中の不思議な物が並んでいました。子供の頃メテオールは、杖よりもそこにある大きな巨人の甲冑や立体天球図に夢中でしたが、プレーリーは子供でも買えるデザインの変わった中古の杖を夢中で探し回っていました。
「プレーリー。コレクション増えたじゃあないか! 杖店も開けるな」
 部屋の壁にぎっしりの杖コレクションを見て、半ばあきれるように、メテオールは言いました。
「うん! 最近は安くていい掘り出し物が沢山出てくるようになったんだ。いいのが入ると、エカイユのおじさんが声を掛けてくれるんだよ。そこの青い柄のついたサーベル形の杖があるだろう。それはドワーフの製作物で、魔法の杖さ。でも、僕は使えないからコレクションだけだけど」
 メテオールはその杖を手に取り、触って見ました。15cmほどの小さな軽い杖です。青い柄の所は金属で出来ていて、刀身を模した本体は硬い銀色の鉱物で出来てました。ドワーフの製作物にしてはシンプルすぎるデザインでしたが、確かに迫力があり、魔法の力がこもっているようでした。
「振ってみていい? 」
「いいよ! 」
 メテオールが軽く杖を一振りすると、ピシャ! っと杖から水が出て、自分の顔に引っかかりました。
「うふふ。それ、水杖なんだって。エカイユおじさんが言ってたよ! 」
 いたずらっぽい笑顔でプレーリーが言いました。メテオールも水だらけになりながらも、二カッ! と笑いました。まったく、子供のいたずらみたいです。昔もよくたわいも無い悪戯を仕掛けられ、2人して笑ったものでした。
「でもね。メテオール。それ、本物なんだよ! 水杖っても、子供用のじゃあないのさ。それ、あげるよ。僕からのプレゼントさ。マーフォークの杖って名前なんだが、僕には使えないんだ。勉強不足だし、僕は魔法使用の免許も無い」
 メテオールは少し心が沈みました。プレーリーはあと1年で魔法学校を卒業し、りっぱな魔法使いになれるはずでした。それが叶わなかったのは、父親が倒れ、帽子店を継がなければならなかったからです。杖の使用許可が下りるはずの最終学年を残して、彼は退学せざるおえませんでした。しかし、メテオールは知っていました。杖が子供の頃から何より好きだった彼が、杖の魔法を使えないはずは無いと。
 きっと隠れて練習しているはずです。公にそれを使うことが出来ないなんて、きっと歯がゆい思いをしていることでしょう。
「プレーリー。いつか、暇になったら......。おじいさんになってからでもいいよ! もう一度。学校にもどってくればいい。あと1年だ。君はりっぱな魔法使いになれるよ。そうしたら、僕の仕事を手伝ってくれ」
 プレーリーの瞳が輝きだしました。
「ああ。そう出来ればどんなにいいか? ありがとうメテオール。しかし、先祖代々続いてきた帽子店を閉めるわけにはいかないよ。お得意さまもいるからね。それに母を一人には出来ない」
「そうか......。君は親思いだからな」
「ところでメテオール。相談ってなんだい? 」
「ああ。最近プロスペレで、オンブル教という宗教が流行りだしてないかい? その教団の噂を何か知らないかなと思って」
 プレーリーは明らかに暗い目をしました。
「あくまで噂だが、知っているよ。真夜中に集会を開いているらしいんだが、信者や構成メンバーが誰なんだか良く分からないんだ。家族にも秘密にしているらしく、皆が寝ているまに集まって、よからぬ事をしているらしい。今年に入ってもう18人も魔法使いが殺されたよ。皆たいした力も持たない呪術師だが、エムロード商店街の薬剤師のペールおじさんも行方不明だし。知ってるだろう? あの人は君のお父様の同級生だよ。皆殺されたって噂している」
「オンブル教は魔法使いを狙っているの? 」
「それが、分からないんだよ。今年に入ってから普通の人間も行方不明やおかしな死体になって発見されているし。しかもオンブル教とのつながりが分からない。あの教団の噂が出てから、次々に事件が起きるので人の噂でオンブル教のせいにされているのかもしれないし」
「おかしな殺され方ってどんな? 」
「う~ん。目がくりぬかれていたり、内臓がそっくり無かったり。真っ黒くしなびたミイラになって発見されたりして、それはひどい状態だったらしいんだ。皆は黒魔術の儀式に使ったんだろうって言っている。戦々恐々さ。次はいつ、誰が襲われるか分からない。犯人は身近にいる人かもしれないし。こんなときにクラージュ大帝は狂ってしまったとの噂だし。何しろ、町中で得たいの知れない魔法が使われたって、警護兵すら出動しないんだから。」
「街中で魔法が使われたの? 」
「うん! 家も大変だったんだよ! 急に店の帽子が町中を飛び回り始めて、それを捕まえるのに一苦労だったよ。隣の酒屋さんなんて、ワインが全部お酢になっちゃって大損したって言ってたし。街灯が一斉に点いたり消えたり。不気味ったらありゃしない。」
「ふ~ん! そうか。これは国際魔術連盟が動くはずだな。」
「え? 国際魔術連盟が動いているの? 」
「うん。アルおじさんと親父が、もうこちらに向かっているよ。アルおじさんの部下達も来るかもしれないな。僕はまず、今夜大帝に会ってご容態を見てからオンブル教に潜入して見るよ」
 プレーリーは心配そうな顔をしました。時々、メテオールが大帝の為に危ない仕事をするのは知っていました。しかも彼は魔法の天才です。しかし、家族のように思っている彼が、危ない橋を渡らねばならないのは気持ちの良いものではありませんでした。
「仕方ないな。止めても行くんだろう。ならせめて、親父の帽子を被って行ってくれよ。」
 プレーリーは部屋の隅から、がさごそと鍵のかかった帽子箱を取り出し、中を開けました。
 中には黒い、何のへんてつもない山高帽が入っていました。飾りにはシンプルな丸いボタンが右の端に2つ縦に並んでいます。
「おやじさんの帽子? 形見じゃあないのかい? 」
 メテオールは何を言っているのかいぶかって、プレーリーを見つめました。
「おやじは生まれながらの魔法使いだったのさ。僕と同じで家を継がなきゃならなくって、正式な魔法使いにはなれなかったけど。時々、独学で魔法の研究をしていて、この帽子は彼の作品だ。
 これは家族だけの秘密なんだ。オンブル教に潜入するんなら、この帽子とマーフォークの杖を持ってってくれ」
「使い方は? 」
 プレーリーはニコリと笑い、帽子を被ると、次の瞬間消えてしまいました。あっと、思っているまに現れました。
「ボタンを回して。上のボタンは消えるボタン! 下が現れるボタン! 」
「マーフォークの杖はリクドフォール! 何々って唱えればいい。例えばそうだな。あそこの水槽見てて。 リクドフォール! 割れよ! 」
小さな水槽の水が空間を作り2つに別れました。
「リクドフォール外へ! 」
 水槽の水は渦を巻き始め、竜巻のように吸い上がり弧を描いて窓から外へ飛んで行きました。ばしゃんと下で水が地面にぶつかる音がしました。
「憶えておいて、メテオール。この杖は海を割る事も出来るんだよ」
 いたずらな子供に帰ったように、プレーリーの瞳は輝いていました。

......................続く。.....................
by emeraldm | 2010-08-31 12:36 | 小説- 赤髪のメテオール(2) | Comments(2)

オーダー2つ。出来上がりました。
ドラゴンリングは18kとSINVER925。
月桂樹はSILVER製です。それぞれターコイズ入り。^^
オーダー主様気に入ってくれるといいな。^^ 
明日はお店はお休みでしゅ。うぴぴ♪     BY-RUBY。

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by emeraldm | 2010-08-29 16:02 | 彫金製作 | Comments(10)


 日が落ち始め、首都プロスペレのはずれにある、エムロード商店街の商店が次々と閉まり始めだした頃。
 一人の旅人が、とある帽子店の戸口に立ちました。
 店の名前はテール帽子店。
 旅人は緑色のシルクハットに同じ色の外套、白馬を連れた若い紳士でした。見事な金髪は肩の上に切りそろえられ、薄紫の瞳は賢そうに輝いています。店の外に馬をつなぐと、紳士は店の戸口にくくりつけてあるベルを鳴らし店に入りました。
 チリン、チリン!とベルが鳴ると、奥から紳士と同じくらいの年格好の店主が現れました。
「はい! 御用で? お客様。何かお探し物がございますか? 」
 まだ若い、さわやかな店主です。年の頃は24~5歳でしょうか?髪の色と瞳は薄いブラウン。髪は短く刈り込み、ポマードで撫で付けられています。色白で鼻の周辺には薄いそばかすがいっぱい。ほっぺたは少年のように薄く赤みがさしています。白いブラウスに紺色と白の縞模様の蝶ネクタイ。ズボンも同じ布で出来ていました。店主は人懐っこい笑顔で客を迎えました。
 「やあ! プレーリー。久しぶりだな」
 プレーリーと呼ばれた店主は、少し怪訝な顔をし、客の紳士を上から下まで眺めました。
 「忘れちゃったのかい? 君の親友を? 僕だよ。少し髪の色が変わっただけさ。」
 少しおどけた顔をして、紳士は頭を振りました。
 「親友? まさか......。メテオール?? 」
 「あったり~! 元気だったか~? 店は繁盛してるかい?」
 びっくりして固まったプレーリーを抱きしめると、メテオールは帽子を取り、店を眺め回し始めました。
 プレーリー.テールとは魔法学校の同級生。約5年間も同じ机を並べた親友でした。
 あと1年の就学期間を残し、親父さんが急に病気になったからと帽子店を継ぐために退学した彼を、悲しみながらも誇りに思ったものです。
 母親と一緒に帽子店を引き継ぎ、父親の看病を続けていた親友は嫁も取らず独り者でした。それなのに、忙しい時間を割いて、遠いラ.ベリテまで自分の結婚式にも出席してくれました。離れていましたが、子供時代と同じくメテオールには無二の親友でした。
 「驚いた! メテオール...。なんだって、そんな変装してるんだい? まあ、君の事だ、僕を驚かせようってだけじゃあ無いことは確かだけど。何かあったのかい? とにかく今日は家に泊まってくれよ。母も喜ぶよ。もう、店を閉める時間だから」
 プレーリーは嬉しそうに微笑むと、店を閉める支度を始めました。窓の外をちらりと見ると、メテオールの白馬が見えました。
「あ。君。ほうきじゃあなくって、馬に乗って来たの? これは、ますますなんかあったな? 後でちゃんと教えてくれよ! 馬は自宅の方の馬小屋につないでおくれ。ぼくは店を閉めちゃうから。君、僕ん家初めてじゃあないから分かるだろう! 」
 初めてどころか、学生の頃、プレーリーの家には夏休みに何回も泊まりに来たことがあります。メテオールにとって、プレーリーの家は夏休みの思い出でした。小さい頃、母親を亡くしたメテオールは母親の愛情に飢えていて、プレーリーの母親はそんなメテオールを自分の子供の様に優しく迎えてくれました。プレーリーの父親も元気なときは、帽子店の休日に釣りに連れて行ってくれたり、キャンプに連れて行ってくれたり、とても楽しい夏休みでした。
 プレーリーの父親が寝たきりになってからは、メテオールは遠慮して泊まりに行かなくなったのですが、その父親も2年ほど前に亡くなりました。
「うん! じゃあ、馬小屋にラファルをつないだら、お母さんに挨拶してくるよ。あ、困った。土産を忘れたぞ!」
「いいよ! 土産なんて。 なにを水臭い! それに、君。 仕事に来たんだろう? 母に挨拶したら、勝手に上がってて。すぐ行くから」
 メテオールは店の裏にあるプレーリーの馬小屋にラファルをつなぎ、店と一続きの自宅の裏口から中に入りました。
「フォンティーヌ母さん! メテオールです。おじゃまします! 」
 暗い部屋に明かりがつき、フォンティーヌと呼ばれた中年の太った小さな女性が、二の句も言わせずいきなりメテオールに飛びつきました。 
「メテオール! 心配していたのよ。この子は連絡もくれず。 いったい何? この髪は? 染めたの? 長髪なんて貴方には似合わないわ。 あとで結んであげるからね。早く上がって。今、美味しい紅茶を入れてあげるわ。オラージュ産のいい茶葉が手に入ったの。久しぶりね。プレーリーにはもう会った? お父さんのお葬式以来だわ、貴方に会ったのは。シュルシュさんとクレアちゃんは元気にしているの? 校長先生は? 」
 ひとしきりしゃべるとやっとメテオールを放し、まじまじと見つめました。優しい笑顔と、瞳はプレーリーにそっくりです。フォンティーヌにとって、メテオールはもう一人の息子と同じです。実際、プレーリーとメテオールは兄弟みたいにいつも一緒で背格好も似ていました。
 フォンティーヌの暖かい歓迎に心が癒され、メテオールは母に会ったような気がしていました。
 メテオールの隠れた心の故郷がテール家でした。

「父の部屋が空いているから、そこでいいかい? 子供の頃見たく、僕の部屋では大人二人狭すぎるだろう? まあ、今夜は寝ずに話してもらうことが山とありそうだけど」
 プレーリーは、フォンティーヌ母さんのシチューをうまそうにすすりながら話しました。
 3人で夕食を囲んでいると、昔の夏休みが戻ってきたみたいです。フォンティーヌもうれしそうに、次々とご馳走を運んできます。
 ほろほろ鳥のステーキチョップ。黒鯛の芝刈り焼き。川豚の香草揚げ。石亀のシチューを平らげると、デザートに角山羊のチーズケーキ野苺ソースかけが出されました。
 フォンティーヌ母さんは食べるより二人の給仕が面白くて仕方が無いようで、ニコニコと笑いながら楽しそうです。 
 フォンティーヌの料理は相変わらず美味しくって、心の芯が温まるような気がします。もっとも、うれしそうな暖かいその笑顔を見ているだけでも、メテオールの胸は一杯になるのですが。
「ああ。僕は寝るのはどこでもいいよ。プロスペレには仕事に来たんだ。ゆっくりはしていられない。それに、調べなきゃいけない事もあるし。今夜は大帝に会いに行かなければならない」
 プレーリーは眉根を寄せました。
「大帝に? 今夜かい? 確か彼は病気で寝込んでしまったと聞いているよ」
「ほんとか? プレーリー。それで容態は? 」
 プレーリーは眉間に皺を寄せたまま答えました。
「それが、体は元気みたいなんだけど、狂ってしまったと噂が飛んでいる。本当のことは分からないけど、公式行事にはこのところ出席されていないんだ。ジュダ大臣が替わりに政治を動かしているけど、変なんだ」
「どういう事だい? 」
「もれ聞いた噂だから本当かどうか分からないが、父上のディユ大帝と症状が似ているらしい。町の皆は、クラージュ大帝もそう長くは無いだろうと言っている。何しろ、ディユ大帝も、おかしくなってから数ヶ月で亡くなったんだ。今のクラージュ大帝は若すぎて、まだご結婚もされていない。跡継ぎがいないサージュ王国は、これからいったいどうなるんだろうって、皆心配しているよ」
 確かにおかしい。メテオールは心配で心が沈みました。クラージュは自分の弟のようにかわいがっていた生徒です。とても聡明な彼が、突然気が狂ったとは信じられません。
 とにかく今夜会って見よう。そう思いました。
「プレーリー。相談があるんだが......。君の部屋に行っていいかい? 」
 息子達が深刻な話を始めたので、心配そうなフォンティーヌ母さんに、
「ありがとう!おいしかったです! 」
とニコリと挨拶してから、二人は2階のプレーリーの部屋へと階段を昇って行きました。

................続く。......................
by emeraldm | 2010-08-29 12:41 | 小説- 赤髪のメテオール(2) | Comments(0)

NO14 。......潜入......

  
 メテオールは石盤を取り出すと指でなぞり始めました。シュルシュに連絡を取ろうと思ったのです。
 ところが、メテオールが石盤に触れるとすぐに、石盤は明滅を繰り返し、光が小さく分散し始め、アリの群れのようにもぞもぞと連なり、やがて大き目の文字になって現れました。連絡石盤は一瞬にして届く手紙のような物です。ただし、読み手の方が開いていればの話ですが。
 何だろうと覗き込むと、
 
--クレア襲われる。ドワーフの城に避難。無事。犯人はオンブル教。首謀者。オムファム。
誠の名はラシャ。凶悪犯。危険。魔法使い。大勢殺される。気を付けよ。やつは竜の珠を持っている。
闇の魔術。後でアルと駆けつける。   国際魔術連盟より父ルミエール。-- 
 

 読み終わると、ピカピカと光る光の文字は消えました。

「クレアが襲われた? まさか学校でか? 竜の珠ってあの夢の事か? 国際魔術連盟が動き出したとなるとそうとうやばい教団だな。親父とアルおじさんが出てくるなんて」
 
 驚いてすぐに石盤に返信しました。

--了解。慎重に行動す。又報告。アルおじさん。よろしく。追伸。ぼくの髪。金髪。おやじも染めよ。
赤は危険。 息子メテオール。--


 続けて、シュルシュに伝言。

--シュルシュ。竜の珠盗難事件。報告頼む。クレアはドワーフ城。無事か?オンブル教に気を付けよ。国際魔術連盟動く。とおぶん帰れない。又連絡す。 メテオール。--
 
 伝言を書き終わると、石盤を懐にしまい、杖を取り出して自分の頭に触りました。簡単な呪文で、すぐに髪は金色に染まり、短かった髪は肩まで伸びました。
 ついでに緑色のシルクハットと外套と、大きなトランクを杖で出し、魔方陣を消して、部屋を出ました。
 宿のレストランに入ると、さっそくドワーフ族の主人が出てきました。
「ありがとう! 仕度は整った。料金はここに置いておくよ」
 金貨の小袋を傍の机に置くと、メテオールは笑顔で宿を後にしました。
 外に出ると一角獣のラファルが、ブロロと鼻を鳴らしました。
「そうか?お前も変装しなきゃならないな。
 ブランシュヴァル!
よし!きれいな白馬だよ」
 メテオールは普通の白馬になったラファルの鼻づらをちょっとなぜてから、その胴に飛び乗り、プロスペレへと駆け出しました。
 後半日ほどで着くはずです。

....................続く。................
by emeraldm | 2010-08-28 12:48 | 小説- 赤髪のメテオール(2) | Comments(2)

NO13。......対策。......

「......んで。ラシャは今どこにおるか分かるんかい? 」
 まゆをひそめ、嫌そうにルミエールが聞きました。
「その件に関しましては、私の国のエージェントが調べております。オムファムという教祖は、今、サージュ王国のプロスペレにいる模様。アルジャンのお膝元とは、忌々しき事態ですぞ! こやつ、多くの魔法使いを暗殺し力を蓄えて王国そのものを狙っているんでしょう! 周辺諸国も警戒をし始めました。お若いクラージュ大帝ではこの事態を収束することは出来ない!アルジャン様。この私めをプロスペレに派遣していただけませんか?きゃつを捕まえて見せましょうぞ! 」
「オール。駄目じゃ。そなたの魔法は幻影術。まともな奴なら狂いもするが、ラシャは初めから狂っちょる!」
 オールと呼ばれた男は、宝石のついた金色のトーガを着ており、髪の毛とふさふさの顎鬚は黄金色。魔法使いと言うよりは、むしろ王族という身なりだった。明るい薄緑色の瞳ががっかりしたように下を向いた。
「......むしろ、我では......」
 今までだまっていた灰色の肌の男がぶつりと言いました。茶色のトーガに厚手の地味なフードを被っており、よく顔は見えませんが、角ばった長いあごをしています。フードからのぞく唇は薄くてひび割れた青紫。
この男の回りは何故か暗くどんよりとしています。
「近いが......、駄目じゃな。フェ-ル。毒の調合は闇の魔術でもあるが、殺すことや生かすことでは解決できないじゃろう。嫌。もしかしたら、後でお前さんの力がいるかもしれんがの」
「アルジャン! わしの息子のメテオールが、大帝に呼ばれてプロスペレに行っておるんだが......。
もしかしたらこの件かも知れない。孫の事件は息子が出発してから起こったのじゃ」
ルミエールが言いました。
「そうか? ルミ! お前の息子ならいけるかもしれんな。なにしろ、お前の絶頂期と同じ年だからな。委員会のメンバーはメテオール殿のサポートに回そう。ルミ、情報を息子さんに伝えられるかい?」
「おお。やつは連絡石盤を持っていったからな。大丈夫だ!  それよりラシャが絡んでいるとなると、一筋縄ではいかんぞい! アル。いづれ我らも出動せねばいかんな。竜の珠も盗まれたんだろう? 」
「そうじゃ。あれがラシャの手に入ったとなると、とんでもないことに使われかねないぞ! あいつはひねくれておるからの」
 ルミエールとアルジャンはお互いに顔をしかめました。
ラ.ベリテの二人組み時代を思い出し、ラシャに関する嫌な思い出が次々と浮かんできました。
「こうしちゃおれん! 息子に知らせるか......」
 ルミエールは懐から石盤を取り出し、指で魔法文字を描き出しました。

.......................続く。.........................
 
by emeraldm | 2010-08-28 11:40 | 小説- 赤髪のメテオール(2) | Comments(2)

NO12。......お尋ね者......


 アルジャンの隣に分厚い黒ぶちのメガネをかけた、20CM位の人型羽妖精が急いで駆けつけました。子供のようにぷくぷくとしていて、薄い袖なしの衣を腰のあたりで紐でしばっていて、髪の毛はくるくると巻いた金髪。キューピットに似ていますが、サイズがどう見ても大きい黒ぶちのメガネと、背中から生えている薄いパタパタとした羽はトンボのそれに似ています。
 人型妖精は、背の高いアルジャンに合わせて一生懸命羽をパタパタさせて、顔の辺りに浮かんでいました。手には黒い革の大きいノートと羽ペンを持っています。
「アルジャン様。大変でございます。」
 人型妖精はキーキーと高い声で言いました。
「なんじゃ? リュネット。何か問題があったのか? 」
 アルジャンが言いました。リュネットと呼ばれた妖精はパラパラとノートを開けて、ふっと、ため息を一つついてから言いました。
「アルジャン様。竜の珠が何者かに盗まれました。わが、秘密警察の報告によると、例のオンブル教団が係わっているようです。」
「リュネット。よく報告してくれたな。後で、特別な蜂蜜をやろう! 」
 リュネットは、ぺろっと舌なめずりすると、そのまま後ろに下がりました。このかわいい生き物は蜂蜜が好きなようです。アルジャンは委員会のメンバーを見回し、最後にルミエールを見てから言いました。
「さて。皆様に集まっていただいたのは、そのオンブル教団についてなんじゃが、どなたか報告できる情報はあるかの? 」
「わが国の秘密諜報機関グーリによると、オンブル教団はこの1年で驚くほど大きくなったとのこと。始めはポンピエ地方のキリグリという村から始まった謎の教団で、教祖の名はオムファム。主に闇の魔術を使い、地方の魔術師を呪詛で殺し、何らかの方法で魔術の力を吸い取って自身の力としてここまで来たようです。やつの力は大魔術師と同じ位か超えるもよう。」
「ありがとう。ロッシュ。君の配下のグーリは相変わらず優秀だな。」
 アルジャンに褒められ、ロッシュは岩石のような顔を赤らめました。ロッシュにしてみれば、国際魔術連盟長官のアルジャンは憧れの人です。
 ロッシュは主に地の魔術を専門にしています。秘密諜報機関グーリはロッシュの作った泥人間が組織していました。
「それでは、そのオムファムという人物を調べよう。リュネット。国際魔術人名帳を持て。」
 リュネットはパタパタと羽を動かし、再びアルジャンの前に出て、いつの間にか手にしていた分厚いアルバムのような本を差し出しました。この小妖精はとても優秀な秘書のようです。
「よし! ありがとうリュネット。それでは、まずはオムファムという名前で調べて見るかね。」
 アルジャンはその分厚いアルバムのような本を机に置き、銀の杖でポンポンと叩きました。
「ラコンテ。ナマブクブク。オムファム! 」
 本は勝手にパラパラとめくれ、やがてパタンと閉じてしまいました。
「駄目じゃな。やっぱり偽名か。」
「アルジャンさま。真実の言葉の魔法をかければいいのでは?」
「おお。そうじゃった! プラティーヌ。さすが我部下じゃの。お前さんはいつも冴えておる。」
 プラティーヌと呼ばれた上から下まで雪のように白い長い髪の美しい女性がうれしそうに笑いました。プラティーヌの回りはなぜか空気がヒヤッとしていてキラキラとしたものが浮いています。プラティーヌは氷の魔法のスペシャリスト。この世のものなら何もかも凍らせてしまいます。
「よし。それでは、オムファムの真実の名を暴こう。」
「ナーマブナーベリ。オムファム。ラコンテ。ナマブクブク! 」
 再び国際魔術人名帳がパラパラと勝手にめくりあがり、後ろのほうでパタリと止まりました。
 そこには顔写真入りの記録がありました。
 リュネットがパタパタと進み出て声をあげ読み始めました。

--お尋ね者ラシャ。176345年猫月ねずみ日生まれ。出生地ポンピエ地方のキリグリ村。
176365年ラ.ベリテ魔法学校卒業。176367年国際魔術連盟、無許可魔術法違反の為逮捕。
嫌疑は性別の無許可変更。176371年収監先のモンストル監獄より脱獄。以後行方不明。-

「ラシャ? ラ.ベリテだって?? おいおい! ヤツをわしら知ってるよな! 」
 ルミエールが素っ頓狂な声を上げました。
「ああ。同級生だ。こいつの顔は忘れんぞ! 」
 アルジャンが、ルミエールに人名帳を投げてよこしました。
 そこには、ひ弱そうな細く青白い男が写っていました。
「いじめられっ子のラシャか??? 」
 ルミエールは人名帳をなんども確かめ、読み直しました。
「これで分かったな! お前さんの孫の襲撃事件の主犯はきゃつよ。こやつ以上にお前の一族をのろっているやつはいないからな。」
 アルジャンは真面目な顔でルミエールに言いました。

...........続く。.....................





 
by emeraldm | 2010-08-27 18:17 | Comments(2)

この子はフランシーヌちゃんのペットでしゅ。^^
ドラゴンに見えるかな???

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お散歩~~~♪
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誰かに似てるかな???うぴぴ♪^^  RUBY
by emeraldm | 2010-08-27 15:40 | ドール製作 | Comments(2)

少しづつ、作っていたお人形。。。やっとつなげまちた。^^
名前はフランシーヌちゃん。着せ替え人形でしゅ。^^
幼SD用の白いドレスを少し縮めて頭飾りも作ってあげましょうね。^^
ちびドラゴンは今手足で~~~しゅ♪^^ RUBY
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by emeraldm | 2010-08-27 11:05 | ドール製作 | Comments(0)

アトムいじける。

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昨日の夜は、じじパパが熱を出してしまい。お医者さま呼んだり、車出したり、とても忙しく、オマケに昼間にケアマネさんが来てたりして、興奮して吠えまくり、叱られまくり。散歩にも連れて行って貰えず、すねてるアトム。。今日も朝に散歩出来ず、じじパパにも、ベッドに飛び乗ってしまい危ないので会わせて貰えず。><。アトムご免にょ〜。ちゃんと今日は夜散歩しようね。^^じじパパが元気になるまで、我慢していてね。ぐれるなよ。アトム! (>人<) RUBY^^
by emeraldm | 2010-08-27 09:10 | Comments(6)

 
 ルミエールは半日がかりでドルミール山の山頂まで飛んで来ました。
 
「やはり、自分のほうきが一番じゃな。息子のは柄が細すぎるし、小回りが効かん! 」
 
 ぶつぶつとつぶやきながら、山頂から下を見下ろしました。
  
 ルミエールはメテオールの父親で、同じ赤髪。てっぺんはすでに薄くなっており、ラ.ベリテ魔法学校の校長先生をしています。お顔は丸顔で、赤みを帯びただんごっぱな。眉毛はげじげじの赤毛。でっぷりとしたお腹はマントでもかくせず。でもその瞳は優しく薄いブルーに輝いていました。
 魔法学校の生徒は、彼のことを親愛を込めて、「おひかりさま」と呼んでいます。生徒には寛容でとても人気がありました。
 外見は赤髪以外、メテオールに似ているところはありませんが、(メテオールは母親似です。)かつてはメテオールと同じくらいの力を持っていた大魔法使い。てっぺんがはげ始めたころから、段々魔法の力も弱ってきたのですけれど。
 ドルミール山は休火山で、山頂は大きなすり鉢状をしています。上からは見えないくらい火口の底は深く、その火口の底に向かって、ルミエールは真っ直ぐに急下降して行きました。
 
「アルジャン。アルジャン。おるか~? 」
 
 ルミエールは暗い火口の底に降り立ち、大声を出しました。
 
「誰じゃ? ドルミールの眠りを覚ますのは? 呪われるぞい! 」
 
 野太い声が答えると、煤けた人間のような者が影から立ち現れました。良く見ると、魔法使いの正装。銀色のトーガを着ていますが、どこと無く薄汚れ、アルジャンと呼ばれた者の顔もすすで汚れていました。年齢はルミエールと同じくらいか、もっと上と言ったところでしょうか?やせてつやの無い青白い肌と、とがったアゴ。
髪の毛は見事な長い銀髪で、これまた洗っていないようです。
 
「おお! ルミエールじゃないか! しばらくぶりじゃのう。確かお前さんの息子の結婚式以来じゃな」

アルジャンはニヤッと薄気味悪く笑いました。目の色は灰色で、古い竜を思わせます。

「アルジャン! 風呂。入ってないじゃろ。くさいぞ! まあいい。休ませろや。昨晩からこっち、休憩無しでほうきを飛ばしてきたからな。つかれとるのじゃ」

「はいはい! 相変わらずお前さんはマイペースじゃな。よし、来た!  パレ!」

暗い火口の底がパッと明るくなり、底には大理石で出来た宮殿の居間が出現しました。白に灰色のマーブル模様の大きなテーブルセットの上には、ありとあらゆる果物や色々な種類のプチケーキが並べられ、思いつく限りの飲み物も乗っていました。

「どうぞ! 」

 アルジャンは言うと自分から先に席に座り、手前にあった椰子酒のコップに手を伸ばしました。
 よっこらしょ。と、ルミエールも向かい側に座り、濃いぶどう酒をぐびりと飲むと、すっと気分が軽くなり疲れも癒えるようです。それじゃ、ケーキもと、苔桃のプチケーキをほおばると、新鮮な甘い香りが鼻を抜けて、じゅっと汁が口の中に広がり、思わずおおっと声を上げてしまいました。

「うまいな! 」

「んで、何じゃ? 用事があったんじゃろ。お前さんがここまで来るとはよっぽどの事じゃろな。いつもは呼びつけるからな」

 アルジャンはじろっとルミエールを見ました。

「おお。そうじゃ。うちの孫のクレアが襲われての。黒い大蛇じゃ。しかも、ラ.ベリテの建物の中でじゃよ。クレアのぬいぐるみに息子が魔法をかけておってすんでのところで助かったが、ラ.ベリテの守護の魔法を破るからには、大魔法使い以外考えられんのじゃがの? 調査を依頼して良いかの? アルジャン! 」

「ほお! ラ.ベリテの魔法が破られた! それは見捨てておけんな。お主。しばらくここに留まれんか?国際魔術連盟の委員会に調査を依頼せねばならん。お孫さんはどうしておる? 我々の保護が必要かの? 」

「嫌、アルジャン! 孫はお前さんたちよりも安心して預けられるところに預けたよ。何しろ、これ以上いたずらになったらしょうがないのでな。アル! 」

 アルジャンはにやっと笑いました。アルジャンとルミエールはラ.ベリテの同級生。遠い昔からの親友でした。
 その頃からアルジャンの魔法の才能はすばらしく、ルミエールと首席の座を争っていましたが、何よりも変わり者で風呂嫌い。おまけに悪戯が大好きで、殆どの魔法の研究は悪戯の発明という人間でした。ルミエールはそんなアルジャンに一目置いていたし、アルジャンも人の良いルミエールが好きでした。彼らはラ、ベリテの二人組みと言う名前で、その他の魔法学校の生徒には有名な二人でした。赤のルミと銀のアル。当時の魔法学校の生徒たちは口々に言ったものです。

「又、なんかやらかしたらしいぜ。ラ.ベリテの二人組みがさ! 」
 
 その銀のアル。小汚いちび小僧の魔法使いが、国際魔術連盟に就職し、あれよあれよと言う間に出世したのにはルミエールも驚きました。なにしろ今は国際魔術連盟の一番偉い人、長官です。
 つまり、アルの知らない魔法使いはこの世にはいないはず。正式な免許を持っていればの話ですが......。

「ルミ。ちょっと待っておれ! ラ.ベリテの守護の魔法を破れる位の魔法使いのリストを持ってこさせよう。そして、お孫さんを狙う理由がありそうなヤツをじゃな。黒い大蛇を使ったと言ったな。大方、闇の魔術じゃろうが、それだけの力を持っていて我々の操作網にかからんヤツはいないはずじゃからな」

「すまん! アル。休暇中に悪いのお」
 
「いいんじゃよ。どっちみちお呼びがかかっていたんじゃからな。サージュ王国にオンブル教って言う魔術教団が流行りおってな、どうやら国際魔術連盟も黙っていられぬ勢いになって来たようじゃ。わしのお膝元じゃからな。休んでもおれないのじゃ。これから会議なんじゃが、お前さんも同席するかい! お孫さんの事もそこで話し合おう」
 
「おお。それは嬉しいぞ!一度その会議に出席して見たかったのじゃ」

「ほんとか? ルミ。お前さんさえよければいつでも委員会の席を空けておくぞ! まあ、全は急げじゃな。さっそく会議をひらくとするか? 」

「どこで? 」

「ここで。」

 言うが早いか、アルジャンは水晶で出来た輝く杖を取り出し。(杖は汚れていなかった。)
 
「オ~シュランプ、ハルバラ~ルルプパッド! 」
 と、呪文を唱えました。突然、4人の魔法使いと1人の秘書が現れました。

「オール、フェ-ル、プラティーヌ、ロッシュ。突然悪いな呼び出して。会議じゃ」
 
 アルジャンは4人の魔法使いをそれぞれに座らせ、秘書は自分の元へと手招きしました。
 国際魔法会議の開幕です。

..................続く。........................
by emeraldm | 2010-08-26 16:35 | 小説- 赤髪のメテオール(2) | Comments(0)