カテゴリ:小説-赤髪のメテオール外伝( 24 )

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO24 最終回


 ..........黄金の島。..........

 青白い鬼火の中には、確かにソレイユの立ち姿がありました。
しかしその姿は、夢遊病者のようで、瞳は閉じられ手はだらんとしています。

「意識はあるのかしら?」
 レギオンの背中に乗り、ローランに抱かれているアリアス王女が言いました。

「これ以上は傍に寄れないぞ!あれの回りには何か嫌なエネルギーが渦を巻いている」
 レギオンが言いました。

 レギオンは鬼火を中心に円を描いて飛びながらいつでも二人を連れて逃げられる様に警戒していました。
明らかに以前のソレイユとは桁外れに違うエネルギーがこの青白い玉の中で渦を巻いています。

「あの中にいるのはソレイユ殿か? メテオール殿か? それとも鬼なのだろうか」
 ローランが呟きました。

「とにかく、話しかけて見なければ...。レギオン、もっと近くに寄れませんか?」

「寄りたくはないが、仕方ない。何かあったらすぐ逃げるぞ! 二人ともしっかり捉まっていろよ」

 レギオンは鬼火の中の人影に話しかけられる距離ギリギリのところに移動しました。
この青白いエネルギーは今まで生きてきた中で一番危険を感じる物でした。
 レギオンの竜の軍団を全て投入しても、この青白い炎は消えることが無い。
東の竜帝国を壊滅させたエネルギー。
 それを目の辺りにして、このような底知れぬ力を持った者に喧嘩を売った、
己の浅はかさに冷や汗が出るのでした。

「ソレイユ様。アリアスです。お分かりになりますか?」

 アリアスが一番初めに話しかけました。

 返事の替りに、バチッ!青白い火花が散りました。

「ソレイユ様。お怒りをお静め下さい。すでに敵は倒されました」

 ローランが言いました。


 「お前たちは何者だ.....?」
 聞きなれない声が聞こえました。

「私くしはアリアス。この国の女王です。
そして、この人は私の夫になる者ローラン」

 「そこにいる竜は誰だ!」
 
「レギオンだ!そういうお前は誰なのだ?」

 「血を求める者。復讐する者。破壊する者。何とでも呼ぶがいい」

「すでに敵は倒されました。どうぞソレイユ様の中にお帰り下さい」
  
 アリアスが言いました。

 「足りない。血が足りない。暖かい血が欲しい。
寒くてたまらない。俺は氷の世界に閉じ込められている」
 

「いけません。貴方は血を求めてはいない。ソレイユ様は争いを求めてはいないのです。
元の世界にお戻り下さい」

 「アリアス...。ファウストの名を持つ血の女王よ。
そなたの血はさぞかし熱かろう。俺にその血を、そなたの血を!」


「危ない!つかまれ!!」
 レギオンが飛びのいたのと、鬼火から炎の剣がアリアスに向かって飛び出して来たのはほぼ同時に起こった出来事でした。間一髪でそれを避けると、レギオンは鬼火から離れようと早い速度で急上昇しました。
 そのレギオンを火の手が追ってきます。
 レギオンは旋廻を始め、必要に追って来る火の手を振り払おうと懸命です。
 アリアスとローランもレギオンから落ちまいと必死にしがみついていました。

「いけない。アリアス女王が危ない! 砲撃準備!!」
 そう指示をしたのはサウンディッド軍の将軍でした。
 海賊の軍団が壊滅したのを遠くで見守り、戦闘は終わったものと沿岸近くに船を進めて来ていたのでした。
 竜に乗っているのは女王でその後ろにはローラン卿がいます。
 二人を襲っているのは不思議な火の玉。
 何かの魔法のようです。

「打て~!」
 100隻の軍艦が一斉に砲撃を始めました。
 驚いたのはアリアス達です。

「いけない! 戦ってはいけない!!」
 アリアスは大声で叫びました。

 弾を受ければ受けるほど、火の玉は喜んでいるように震え、
いっそう明るさが増しました。
 あの鬼火は敵のエネルギーを吸収して段々と大きくなるようです。
 このままでは、サウンディッドの軍艦も一瞬で壊滅してしまうでしょう。

「レギオン! ぎりぎりまで接近してちょうだい!」
「何を言ってるんだ?アリアス」
「お願い。あの火の中に入ってみるわ。あの方を目覚めさせるのよ」
「ばかな事はやめろ!」
 
「アリアス。貴方が行くなら私も行きます」
 ローランがアリアスを強く抱きしめました。

「仕方ねえな。俺の出る幕じゃないってか?
でも、これだけは覚えておけ!お前らが帰らなかったら、
俺は竜の軍団全てを呼び寄せあいつと戦ってやる。分かったな!!
 よし!んじゃ捕まってろ!!」

 レギオンは空高く舞い上がり、鬼火めがけて急降下しました。
あわやぶつかると言うところで、一瞬空中でぴたっと止まり、
すぐさま方向転換して水平方向に飛び去りました。
 
鬼火の中に、アリアスとローランは抱き合ったまま降り立ちました。
中は熱いのかと思っていましたが意外に寒く、鳥肌が立つくらいです。
 
 この閉じられた空間の中ほどには、ソレイユの姿がありました。
二人はそっと近づき、話し掛けました。

「ソレイユ様。本当の愛を知るものがここにおります。
 私くし達は死を恐れず、生をも恐れない。
だから、ソレイユ様も愛したことを忘れないで」

 ソレイユの閉じている瞳が動きました。
「愛?愛したこと......?」

「そう、私達は愛し合っている。君も誰かを愛したはずだ、命を掛けて......」
 ローランが言いました。

「命を掛けて?」

 パキーン!! と何かが割れる音がしました。
 ソレイユの瞳が開きました。

「オーヴ。私はオーヴを愛していた」

 青白い炎の空間に、白い閃光が走り炎は光に変わって行きました。
 白いきらめきが眩しさを増し、目を開いていられなくなると、
ローランはアリアスをかばい、抱き寄せました。
 そのまま二人は白い閃光にうずもれて......





「なんだか、デジャブを見てる見たいなんですけど。
 何で又、君らを海から救出してんだか?それに今度は一人多いし......」

 レギオンの背にはアリアスとローランと魔法使いが乗っていました。
 魔法使いは肩をすくめると、
 
「すまないね。レギオンさん!僕もいつも一足遅いし......。
 でも、ソレイユがオーヴの事を思い出したお陰で、鬼が静まったんだよ。
 この二人のおかげさ。
 あのままだったら君達も大変な目に会ってたと思うよ」

 と言いました。

「大体お前は誰なんだ! ソレイユと同じ顔しやがって、別人格っても信用できねえぞ!!」

「まあまあ、レギオンさん。この方はメテオール様ですよ。僕たちは一緒に戦いました。信用の置けるお方です」

 ローランが中に入りました。

「メテオール様。ソレイユ様とあの鬼はどうしてしまったのでしょうか?いなくなってしまったの?」

 アリアスが心配そうに尋ねました。

「いいえ。ソレイユも鬼も、まだこの体の中におりますよ。
 鬼は彼の傷付いた心。それを全て無くす事は誰にも出来ません。
 ですが、安心して下さい。あなた方のおかげで、ソレイユは失った物を思い出しました。
 もうこの先、鬼に支配される事は無いでしょう。
 再び誰かを愛することが出来れば、二つの心は融合して行くはずです」

「彼は、誰か他の人を愛せるようになるのでしょうか?」
 ローランが気の毒そうに聞きました。
 
「はい。そのはずです。そうでないと、子孫の僕はいない事になり、ここに存在する意義が無くなります」

「又、訳わからん事を! 城に着いたらたっぷり説明してもらうからな!!」

 レギオンがぷりぷりしてバサッと翼を振りました。
 その様子を見て、笑いながらアリアスが言いました。

「そう。城に着いたら、私くしとローランの結婚式です。
 パーティではゆっくりと貴方の不思議なお話をお聞かせ下さいね」

 

 夜は更けて、美しい満月が港を照らしておりました。
メイルーンの港も町も砦にも人々が満ち溢れ、祝杯を上げておりました。
 ガルガンドイドはメイルーンに敗れ、美しい女王はローラン卿と結ばれました。
サウンディッドの兵達もすでに港に上陸して、島の人々と飲み明かしています。
酔っ払いの中によく見れば、人と化した竜達が密かに隠れていることでしょう。
 呪われし血族の女王アリアスはこの世で一番大切な宝物を手に入れ、
幸せな黄金の島の女王になりました。

 
 その後、アリアスとローランはいつまでも若く幸せに島を統治していましたが、
ある日跡継ぎの姫に全てを譲り行方知れずになったという事です。
 ですが、私はこう思います。彼らはずっとずっと幸せであったのだと......。

 そうそう、ソレイユのその後ですが彼の苦難はまだ始まったばかり。
再び愛を手に入れるまで彼に平穏は来ないのです。
メテオールの消息も気になりますが、そのお話は又この次に......。
 まずは、これでお終い。



 ...................END。....................
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by emeraldm | 2012-08-04 16:24 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(2)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO23

......3つの魂.......

「姉上!ご無事だったのですね?」
 カルサスは姉の顔をまじまじと見つめました。

「ローラン卿とソレイユ様のお陰で助かりました。
それより、あれの事で参りました」

 アリアス女王は海に浮かぶ火の玉を指差しました。

「今すぐ全兵士に攻撃をさせないように手配しなさい!」

「ですが、姉上!!」

「女王命令です!」

 有無を言わせぬ姉の態度に、カルサスは傍にいた参謀全てに指示を出しました。

 9人の騎士達はそれぞれの持ち場に急いで帰って行きました。

「姉上。あれはいったいなんなのです。私にはとても恐ろしい物にしか見えません。
何かソレイユ殿と関わりがある物なのでしょうか?」

「あれは、ソレイユ様の壊れかけた心...。
 愛する者と引き裂かれ、鬼に化身した半身の姿。
 侍女のソフィアが教えてくれたわ。
 ソレイユ様がレギオンから傷を受け意識が朦朧としていた時に、
 あの鬼になりかけたのを別人格のメテオール様が引き止めたそうよ。
 そのメテオールと言う方が申すには、自分は違う世界からこの魂に宿った傍観者で、ソレイユ様の遠い子孫だとも言われたらしいわ。
 とにかくその方が申すにはソレイユ様は愛する人と引き裂かれ衝撃の余りに二つの魂に分かれてしまった。
 その時に流れた大量の血の記憶が呼び覚まされると、世界中の誰も止められないほどの魔力を持った悪魔が出現するそうよ。その悪魔には心が無く、本来は私達と共にいた、もう半分のソレイユ様と融合しなければならない者。そうでなければ、世界が終わってしまう。
 そうメテオール様は告げたそう。
 そして、こうも言ったそうなの。
 本当の愛を知っている者だけが、あれを止めることが出来ると...」

「本当の愛ですか?」

「そう、本当の愛。全ての人間が求めてやまないもの。
私くしはそれを知らなかったがゆえに、大切な人を失おうとしていました。
 それを知った今なら、私くしがあの方をお止めすることが出来るやも知れません」

「お止め下さい姉上!鬼になってしまった以上、あの方は危険です。
いくら姉上が慕っていたとしても...」

「カルサス。違うの!レギオン来て頂戴!!」

 レギオンが空から現れ、アリアスのすぐ側に着地しました。
背には傷だらけのローランを乗せています。

「私くしはローラン卿を選んだのよ。この方は私くしを命を掛けて救い出して下さった。
 私くしを庇う為にこの方は死にかけていたの。
 だから、私くしはこの方に血をお分けした。
 一生に一人だけ、私くしと命を共にする方。
 私くしの夫はローラン!本当の愛を教えて下さった方」

「しゃあないよな!ここまで言われちゃあ。俺はアリアスをあきらめる事にしたよ!
カルサス。俺たちも仲直りしようじゃないか?」

「レギオン殿?」

「私くし達はこれから、あの方の魂を静めに参ります。
レギオンが手伝ってくれるそうよ。
 私くし達に何があっても、決して兵が攻撃しないよう、貴方はここにいて
よく指揮をしていてね。
 心配しないで、カルサス。私くしたちは大丈夫、不死の体を持っているのだから...。
では行きますよレギオン!」

 アリアス女王はレギオンにひらりと飛乗り、後ろからその体をローランが支えました。
 レギオンは大きな翼で夜の空に舞い上がり、
今はもう、青白い炎に戻った火の玉の方に飛んで行きました。

 

..........続く。...................

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by emeraldm | 2012-08-03 22:20 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO22

.......眠れる悪魔............

すでに日が沈み始め、メイルーン軍とガルガンドイドの海賊船団は激しい戦いを繰り広げていました。
 サウンディッドの援軍は海賊船を取り囲み、メイルーンの沿岸から逃さないように包囲しています。
 逃げ場が無くなった海賊船らは、海賊王ロラージュの指示が全く無い事態にあせりだし、
 四方八方へとめちゃくちゃに砲撃してきました。
 港も町も砲撃でやられ、あちこちが崩れかけています。
 砦からも反撃はしているのですが、逃げ足の速い海賊船はちょこちょこと逃げ回り、
時間だけが経って行きました。
 メイルーンの兵士達にも疲労の色が出ています。
 このまま夜が更ければ、海賊共は見張りの隙をついて島に上陸しようとするでしょう。
 策を練ろうと、月丘砦にはカルサス王子他、9名の参謀が集まっていました。

 
 「このままサウンディット軍の協力を得て、海戦に持ち込むのが妥当でしょう」

 「我らの軍船はすでに海に沈んでしまったのですぞ!サウンディッド軍だけに戦わせる訳にはいかないではないですか?」

 「誰か何か良い案は無いか?」

 「こんな時にソレイユ殿はどこに行ったのだ!!」

 意見はまとまらず、苛立ちだけがその場を行き来していました。

 「王子様。港に巨大な火の玉が浮いています!!」
 見張りが報告に来ました。

 「何?どこだ!!」

 カルサスと参謀達は港の見える塔の上に移動しました。
 本当です。青白く燃えているような巨大な玉が、湾の中心部分に浮いていました。
 真っ暗な海の上に浮かぶ青白い光は鬼気迫り、
余りの薄気味の悪さにカルサスは寒気を覚えました。
 青白く発光している玉は呼吸をしているように蠢いています。
 玉の周りには時々小さな火花が散り、不気味なエネルギーが感じられました。

 カルサス達がこの玉を目撃していた同じ時に、ガルガンドイドの海賊達もこの玉を確認していました。
 そして、一斉に玉に向かって砲撃を始めました。
 ドカーン!ドカーン!!
 砲弾は玉に向かって集中着弾しましたが、玉は光の強さが増しただけでした。
 
 「お、おい。なんだ?あれは??化け物か??」
 「逃げろ!この島から離れるんだ!!」

 この事態に慌てた海賊達は、てんでに逃げ出そうと船を外洋に向けました。
そこにサウンディッド軍が包囲しているのは知っていましたが、薄気味の悪い怪物よりはましです。

 ガルガンドイドの船団が逃げ出そうと後ろを向けたその瞬間、青白い鬼火の玉が真っ赤に燃え上がりました。日の沈んだ真っ黒な海を一瞬赤く染めると、玉から出た赤いエネルギーが船団に向かい湾全体を覆う勢いで発射され、逃げ惑う全ての海賊船に放射されました。
 赤黒い炎が一斉に立ち上がり、爆発的な勢いで船が燃え上がります。
 海賊共の怒号とも悲鳴ともつかぬ叫び声ががあちこちで聞こえ、
体に移った火を消そうと海に飛び込む音がしました。

 一瞬で海賊船は壊滅し、あちこちで水に浮かぶろうそくの火のように船の残骸が漂っています。
 海に飛び込んだ海賊達を取り巻く火はどうやっても消えず、生きたまま焼かれ、叫び声とともに真っ黒に燃え尽きて行きました。
 この地獄絵図にカルサスはなすすべもなく、ただ魅入られた様に鬼火から目を離せずにいました。

 「あ、あれは何なのですか?カルサス様」

 参謀の一人が震えながら言いました。
 鬼火の中に何者かが浮いています。
 眠っているような男の影?赤い髪の...。

 「ソレイユ殿??」

 「カルサス様。女王様が今、砦に御着きになられました。こちらに急ぎ来られるそうです」

 歩哨の一人が報せに来ました。


 
.............続く。...........

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by emeraldm | 2012-08-03 20:45 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO21

..........半身..........

 
 「遅かったか!!」
 メテオールはローランとアリアスが断崖から落ちて行くその瞬間を見てしまいました。
 
 バシャン!!大きな物が海に落ちた音がします。

 「くそっ!海賊。私が相手だ!!」
 メテオールは叫ぶと杖を上げました。

 ローラージュは薄笑いを浮かべこちらを振り向きました。
 腹からは剣の刃が生え、絶えず血が流れ出しています。
 
 「お前も死にたいようだな...」

 ロラージュは銃を発射しました。

 「ルバリアラウリア!!自身を撃て」

 杖を上げメテオールが唱えると、拳銃の弾はカーブを描き、
ロラージュの額の真ん中に打ち込まれました。
 ロラージュは自分の発砲した弾で撃ち抜かれ、どっと倒れました。

 「ファウスト女神に有効な弾なら、その血から作られた魔物にも銀の弾は有効だろう?
お前のオゾーも前の姿に戻ったよ。一緒にあの世に行くがいい...」

 メテオールはポケットから小さな猿の死体を出して、ロラージュの胸の上に乗せました。
 ロラージュとオゾーはぐずぐずと崩れ、チリとなって風に飛ばされて行きました。

 ロラージュを倒し、急いで坑道の出口に出て行くと、
夕日の中、竜の姿のレギオンが、ローランとアリアスの体を背に乗せてこちらを見上げていました。

 「レギオン!助けてくれたのか?」

 レギオンはメテオールの立つ崖の上まで飛び立ち、

 「アリアスは生きている。男の方は分からない」
と言いました。

 「お前、俺の背に乗れ。とにかくファウスト城に戻ろう」

 分かった...。と言いかけて、メテオールは物凄い頭痛に襲われました。
頭が割れそうに痛み、頭を抱えて転げ回るメテオールを見て、レギオンは言いました。

 「おい!お前大丈夫か??」

 「すぐにここから離れろ!レギオン!!やつが出てくる。
 私は、血を、見過ぎてしまった。
 ああ。駄目だ!抑えきれない。。。
 今すぐ、二人を安全なところに連れて行くんだ...」

 「おい!何を!!」

 「レギオン早くしろ!!」

 メテオールの杖が青白く光り、ちりちりとした静電気が発生し始めました。
 レギオンは何か緊急事態を感じ取り二人を乗せて急いで空中高く飛び上がりました。
 間髪を入れず、崖の上の出口から青白い爆発的なエネルギーが放射され、
 その青白いエネルギーの一部が球になり、
凄い速度で弧を描きながら砦の方向に向かって行きました。

 
 
........続く。...............

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by emeraldm | 2012-08-03 14:45 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO20

 .......騎士ローラン........


 思いもかけず海賊の話で女王の秘密を知ってしまい、
ローランは動揺を隠せずにいました。
 しかも恐ろしい事にこの海賊は女王を利用するつもりでいます。

 
 
 「貴方の妻になるくらいなら私くしは死にます!!」

 アリアスが叫びました。

 「ほお!どうやって死ぬって言うんだ?不死の女王。
 まあ、俺はお前を死なせたりしないがな。
 一生縛り付けて俺のいいようにしてやるよ。ふふふ」

 ロラージュは恐ろしい顔で笑いました。

 これ以上、女王が侮辱されるのは我慢がなりません。

 「女王から離れろ!!」

 ローランはメテオールが止める間も与えず、広間に飛び出して行きました。

 「ローラン殿!! ああ...。これじゃあ隠れている意味がありませんねぇ」

 仕方なくメテオールも陰から現れました。


 「ローラン殿!ソレイユ様!!」

 女王は叫び、怪物の背中から飛び降りようとしました。

 「おっと!そうは行かねえ」

 ロラージュが素早く女王を抱き止め、その首に銃口を当てました。

 「アリアス。知っているか?もう一つの話を?
 この銃弾はな、銀の弾で出来ているのよ。
 ファウスト女神は不死の一族だ。が、唯一銀の弾には弱い。
 この銃弾を浴びれば傷は塞がらず、やがて体中の血が抜けて消滅する。
 俺はそれでも構わないがな。お前の血を一滴も残さず利用してやるよ。ふふふ。」

 「さあ、そこのやつら、俺たちのじゃまをすんじゃねえ。
 これから船に戻ってアリアスと婚礼の仕度だ!
 お前らの相手はこのオゾーにしてもらうぞ!!」

 言うが早いか、ロラージュはアリアスのみぞおちを殴り、気絶させて肩に軽々と担ぎ上げました。
走り去るロラージュを追おうとして、二人が動く前に
 
 「ブオオオ!」

 オゾーが物凄い勢いで襲って来ました。
 オゾーは巨大な岩を拾い、二人を潰そうと投げつけました。
 二人が岩を避けると素早くその長い爪を繰り出し、ロラージュを追跡する事も出来ません。
 巨体な割に動きが早く、知能も高いようです。

 「私がこいつの相手をします。
 ローラン殿は女王をお願いします!
 バルテスト.バトゥ!粉砕せよ! 

 
 メテオールはオゾーの持った大岩を粉砕しました。
 大岩は爆発し、オゾーは岩壁に飛ばされました。

 「さあ、今の内だ!行って下さい!!」

 ローランは頷くと急いでロラージュを追いました。
 
 海賊王ロラージュは女王というお荷物を背負っているにも関わらず、
すごい速度で逃げて行きます。
 枝葉に分かれた坑道の道をまるで知っているかのように折れ曲がり、
 あわやと言うところで見失ってしまう所でした。
 何度目かの曲がり角で、ローランはとうとうロラージュを見失いました。
 どちらに行こうかと迷っているうちに、ローランはある事に気付きました。
 暗い坑道の道が薄暗くなって来ているのです。
 そして、かすかな潮騒の音が聞こえました。

 「左の道だ!」

 潮騒の音が聞こえる方へ、ローランは道を曲がりました。
 夕日が見える坑道の出口がすぐそこにありました。
 ロラージュは意識のない女王を出口の脇に置き、
 月の形に曲った異国の剣を構えて、ローランを待ち伏せしていました。

 「ここまで追って来たのか坊や?褒めてやるぞ!
ご褒美にちょいと遊んでやろうなあ」

 ロラージュの円月刀がきらめきました。
すんでの所で飛びのいたローランの軍服が切り裂かれました。
 ローランはすぐに気を取り直し自分の長剣で切り返します。
 円月刀と直刀の演舞が始まりました。
 右に打ち込めば右に受けられ、左に打ち込めば左に受けられます。
 重量のあるロラージュの体は見た目ほど愚鈍ではなく、
 身軽なローランと互角にやりあっています。
 まるで岩場に遊ぶ蝶のように二人は剣を交わしました。

 
 「坊や!なかなかやるじゃないか?
 師範学校じゃまあまあの成績だったんじゃあないのか?
 だがな、実戦ってのはもっと泥臭いもんなんよ!」

 言うが早いか、ロラージュは懐に持っていた小型ナイフを投げつけました。

 「つっ!」
 ローランは不意をつかれ、右腕から血が流れました。
利き手が負傷し、剣を持つことが出来ません。

 「ほら、どうした。若造!掛かってこんか!!」

 「ううん」
 アリアスは苦しそうに呻きながら目を覚ましました。
 目の前では海賊とローランが死闘を繰り広げていました。
 自分の後ろで風を感じ、思わず振り向くと、そこには坑道の出口がありました。
下を見ると岩で出来た断崖と逆巻く海です。断崖の高さは相当なもので、
人間には降りることも登ることも不可能に思われました。

 「お前ごときに、姫を渡してなるか!!」

 右腕から血を流しながら、ローランは悔しそうに剣を左手に持ち替えました。

 「どうやら殺して欲しいようだな...」

 ロラージュは続けざまに切りかかり、
ローランは使い慣れない左手で防戦するのが精いっぱいです。
 体中に傷が付いて行きます。
 ローランの軍服はあちこち破れ、血まみれになって行きました。
 ついに長剣は撥ね退けられ、アリアスのすぐ側に飛んで来ました。
 海賊はローランを岩壁に蹴り倒し、ローランの首に円月刀を押し付けました。

 「これで最後だな。若造!」

 ブスッ!
 肉の裂ける嫌な音がして、血が吹き出し、海賊の手から円月刀が落ちました。
 見るとその腹から刀の切っ先が突き出ています。
 海賊王ロラージュは腹を押さえて頽れました。

 後ろには真っ青な顔をしたアリアスが返り血を浴びて立ち尽くしています。

 「女王様!!」

 ローランは呆然としているアリアスを抱きしめ、坑道の出口まで走りました。
 出口は切り立つ崖の上にあり、下は逆巻く海です。

 「待ちやがれ!」

 海賊はゆっくりと立ち上がり、一歩一歩近づいて来ます。
 腹からは血が流れ、長剣の切っ先が出ていました。

 「生憎、俺は不死身でな...。
 だからって、痛みを感じない訳じゃあないんだぞ!
腹を刺されりゃ物凄く痛えんだ。
 だから、お前らは生きては返さねえ。
 アリアス、おめえを嫁に貰ってやるつもりだったが残念だな。
 お前の血は樽に詰め、俺様が喰らい尽くしてやるから安心しろよ」

 海賊王ロラージュは銃を取り出し、アリアスの心臓を狙いました。
 
 「やめろ!!」

 パーン!と銃弾が発射され、銀の弾はローランの背中を射抜きました。
血飛沫が舞い上がり、
 ローランは女王を抱きしめてそのまま海の上へと落ちて行きました。



 アリアスは霞む意識の中で、幼い頃のローランを見ました。
カルサスと幼馴染の彼とは城の庭でよく一緒に遊び、弟と言ってもいい仲でした。
 かわいいローランはいつもうれしそうに甘えてきて、自分の膝の上で寝てしまった事もあります。
 アリアス姉さま、アリアス姫、アリアス女王。
 成長と共に自分を呼ぶ名が変わり、やがて眩しい青年将校になりました。
 ローラン。生きていて...。
 アリアスは衝撃と冷たい水の渦の中で意識を失って行きました。


 ............続く。..............

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by emeraldm | 2012-08-02 13:05 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO19

 
 .........坑道.........

 ウィローはとある坑道の入り口にメテオールを導きました。
 
 「ご苦労様。ウィロー!もう帰っていいよ」
 
 返事の替りに、ビュッと風を吹き上げ、ウィローは去って行きました。

 坑道は古いもので入り口は崩れかけ、草の葉に隠されて
そこにあるのが何だったのかもはや分からない様子になっていました。

 「ここに逃げ込んだのですね」
 メテオールは呟きました。

 
 「ソレイユ殿。なぜここに...傷は大丈夫なのですか?」
 
 ローランが駆けて来ました。

 「貴方は酷い傷を負い、城に寝ていたとばかり...」

 「ああ。貴方もこちらにいらしたのですか?私の傷はすっかり癒えました。
 何しろ、魔法使いですから」

 ソレイユがにっこりと笑ったのを見て、ローランは眉根を寄せました。
 以前のソレイユとは何かが違います。
 ドスの効いた剃刀の刃が以前のソレイユならば、
 今のソレイユはまるで澄みきった名刀。
 しかも落ちつき払ったこの態度...。

 「ソレイユ殿。記憶が蘇ったのですか?何か以前とは違うような?」

 「そうですね。記憶が蘇ると言うより、時間をさか登った?いや、違うな。
記憶を辿った?じゃあないね。とにかく私はソレイユであり、ソレイユで無い。
 まあ、説明が難しいのでとにかくこの場ではソレイユと呼んで下さい」

 「???」

 「ああ。混乱させてしまったね。後でちゃんと説明しますから。
取りあえず今の僕は完璧に魔法が使えるのです。
 前に貴方と行動していたソレイユは半分でした」

 「半分?」

 「そう。半分の片割れ。でも、もう半分はとても危険で目覚めさせることは出来ない。
仕方なく傍観者である僕が出てきてしまったと...」

 「何を言ってるか私には...??」

 「とにかく私は今、ソレイユの一部なのです。
事件を解決するのが私の仕事みたいな物ですし...。
 それから、この目の前の坑道の先に、敵と女王がいるはずです。
 私が救出に向かいますから、ローラン殿はここでお待ち下さい。
 とても危険な作業になりますから、終わるまでけして坑道には入らないで下さいね」

 ローランは別人の様なソレイユに圧倒され、
返す言葉も無いままに坑道に入るソレイユを見送ってしまいました。
 ソレイユの言っていた事は何一つ脈絡が無く、怪我の為に狂ったとしか考えられません。
 
 しばしの間戸惑いましたが、決心して、ローランも後を追って行きました。
 様子のおかしいソレイユが、果たして女王を救出出来るのかとても心配だったからです。

 「きゃー!」

 その時、坑道の先から女の悲鳴が聞こえました。

 「アリアス女王!!」

 思わず叫んだローランを振り返り、メテオールは肩をすくめました。

 「付いてきちゃったのですね。仕方がない。
 ローラン殿、走りますよ!」

 メテオールは言うなり杖の先に明かりを灯し、真っ暗な坑道を走って行きました。
 その明りを頼りに、ローランも負けずに後を追って行きます。
 
 しばらくすると、坑道の先、右側の壁にかすかに光がもれている場所がありました。
 メテオールはローランに口を聞かない様に指で合図し、
 二人は足音を立てぬようそっと近づいて行きました。
 光の漏れる壁の先は曲がり角になっていて、広い部屋が続いているようです。
 そっと近づき、壁の隅から中を覗くと、
そこには海賊と怪物、そして囚われた女王が怪物の上に座っていました。
 海賊は得意げに何やら話ているようです。
 余りに大きい声なので、隠れているメテオールとローランにも丸聞こえでした。

 「俺の親父は山賊でな、ある日きれいな娘を山から攫ってきた。
 親父は娘を気に入りとても大切にしたそうだ。........


 ......続く。........

BY-RUBY^^
 
 



 
by emeraldm | 2012-08-01 20:17 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO18

......ロラージュとオゾー........

  「どこに隠れやがったんだ?」
 悔しそうな顔をして地上に舞い降りると、レギオンは人の姿に戻りました。
 すばしっこいあの怪物は確かこの辺りで消えたはずです。

 「レギオン!王女はどこだ!!」
 ローランが馬に乗りものすごい勢いで駆けて来ました。

 「おっと!あぶねえ。突っ込んでくんじゃねえよ!」
 レギオンは飛びのき、ローランは急激に馬を止め前足が宙に浮きました!

 「ヒヒーン!」
 馬が嘶き、仁王立ちになったとたん、ローランは飛び降り、
 剣を抜きました。

 「まあまて。俺がアリアスを誘拐した訳じゃあなし。
今は、アリアスを救出することの方が先だ!剣を納めろ!!」

 レギオンが掛かって来ないのを見て、ローランは次第に落ち着きを取り戻しました。

 「分かりました。女王様をお救いするまでこの勝負は預けておきましょう。
でも、私は消して貴方に女王を渡さない。命を掛けても...」

 ローランのまだ若い真っ直ぐな視線に、レギオンはプッと噴出しました。
顔が少女の様に蒸気しています。

 「お前、アリアスに惚れているな」
 思わず口走ると、ローランは真っ赤になってレギオンを睨み付けました。

 「まあ、人を好きになるのは勝手だ!
 しかし、頭から湯気をあげていては勝負には勝てないぞ。
 ところで、お前、ここら辺の地理に詳しいか?」

 「いえ。でも、おそらくここは旧採掘場の辺りだと、
すでに使われなくなった金鉱石の採掘場はこの島には無数にあります」

 「じゃあ、その穴倉に隠れた公算が高いってことか?」

 「おそらくは...。しかし、坑道は無数にあり、互いに繋がり合っています。
まるで迷宮のようで今では誰も立入る事はありません。
 昔の採掘場の地図があれば役に立つのですが」

 「やっかいな場所に逃げ込まれたな。岩の中じゃ空からは見えないか!
やつらがうまいこと道を見つければ島の外に逃げられてしまう。
 よし!俺は竜の軍団に島の岩壁を警備させる。
 すぐに戻ってくるからお前見張っていろ!!」

 レギオンは竜に化身して飛び立ちました。
 ローランは腰に括り付けてある物入れから打ち上げ花火と火打石を取り出し、
 火を付けました。

 ヒュルルルル バーン パラパラパラ!!

花火は空中で爆発し、大きな花を咲かせました。




 ロラージュはオゾーから降りて松明を持ち、真っ暗な坑道を歩いていました。
 オゾーの背中には気を失ったアリアスが乗っています。

 「もうこの辺でいいだろ。オゾー。一休みするか?」

 坑道の先に開けた場所があり、
坑夫の休憩場だったのか岩壁には松明の燃え残りが何本も残っていました。
 その松明に火を移すと、岩で出来た広間は部屋のように明るくなりました。
 オゾーは背中にアリアスを乗せたまま、ロラージュの傍に伏せました。

 「オゾー。ご苦労だったな。疲れただろう!あと、少しの辛抱だ!!
船に帰ったらご褒美を一杯やるからな」

 ロラージュは愛おしそうにオゾーの頭を撫でました。

 「ブオッ」

 オゾーは目を細め、ロラージュにもっと撫でてもらおうと頭を動かしました。
 体の下で何かの動きを感じたのか?アリアスの意識が戻りました。
 はっとして飛び起きると目の前には熊のような大男。
 自分は何か巨大な毛むくじゃらな怪物に乗っています。

 「きゃー!」

 洞窟内に響き渡る悲鳴が上がりました!
 アリアスは怯えてぶるぶると震えています。

 「あれ?船の上とは随分態度が違うな?」
 ロラージュが話しかけました。

 「船の上?何の事です?貴方は誰なのです!」
 アリアスは気丈にも答えました。
 
 「おう!俺は海賊王のロラージュ様よ!
 お前の下にいるのが相棒のオゾー。北の大陸の怪物よ」

 アリアスは恐々と自分の乗っている生き物を見ました。
 怪物は巨大なサルのような体と、象アザラシのような大きな鼻と牙を持つ
とても醜い生き物でした。
 アリアスは両手で顔を覆いました。

 「その様子じゃあ、船に乗って来たのはあんたじゃねえな。
俺様とあろう者が二重に騙されるとはな」

 ロラージュは面白そうな顔をしました。

 「まあ、そのお陰であんたの秘密を知ったんだから、
世の中どう転ぶか分かったもんじゃあねえ。
 お前、ファウストの出とは確かか?」

 アリアスはファウストと聞いてびくっと体を震わせました。

 「ほお。だんまりかい!まあ、いずれすぐに分かるがな。
 俺が何であんたの一族に興味があるか教えてやろうか?アリアス.ファウスト。
 かなりの昔話だが教えてやろう...。

 俺の親父は山賊でな、ある日きれいな娘を山から攫ってきた。
 親父は娘を気に入りとても大切にしたそうだ。
 だが娘は不思議と食事をしようとはしなかった。
 やがて子供が生まれ、幸せな日々が続くと思ったが、
日に日に娘は衰弱して痩せて来る。
 親父は何とかして食事をさせようとするがまったく受けつけねえ。
 訳をやっと聞きだしたら、
 その娘はファウスト女神の30人の守り手の一人だと言う。
 その娘の村では永遠の命を授かる為に毎年女神の血を分けてもらい
永遠に生きられる。けれど掟を破り、村の外で婚姻し、
子供を持った自分には血を分けてもらえる資格が無いのだと言うのだ。
 確かにその地方では永遠に生きる若者の伝説があって、
人々は森を行くのも恐れていた。何か恐ろしい化け物がいるのではないかと
思っていたらしい。
 それで、単純な親父は考えた。妻の為に女神の血を奪ってこようと。
 結局間に合わず、親父が帰って来た時には妻は土くずになってしまい。
女神の血の秘密を知った仲間達とは内輪もめをして殺し合い。
 山賊の一味も滅んだ。
 その山賊の妻の子が俺よ。
 仲間に襲われる前に、親父は俺を北の大陸に流した。
 女神の血一樽とペットの小猿と一緒にな。
 俺達は海を漂流し、食べ物が無くなると女神の血を飲んで生き延びた。
 その時のちっこい小猿がこのオゾーだ!
 俺は親父の教えを守り、1年に1度だけ1口しか血を飲まねえ。
 この血がおぞましい物だと知っていたからな。
 最初、オゾーは女神の血に味をしめ血の樽に頭を突っ込んでごくごく飲みやがった。
 その晩、苦しんでのた打ち回り、こいつは死んだと思ったね。
 朝、まだこいつが生きていて、しかも怪物のような風体になったのを見たとき
 俺はたまげた。でも、こいつは俺のこと忘れてはいなかったぜ。
 こいつがいなければ俺は北の大陸の統治者にはならなかっただろう。
 オゾーは俺の一部で、俺はオゾーの一部なのさ、女神の血を分け合った時から...」

 「そ、それで私くしをどうするつもりなのです!」
 アリアスは恐ろしさの余り泣出しそうです。

 「樽の中身が少なくなって来たんでな。そろそろどうするか考えていたところよ。
 親父達は頭の悪い山賊だったから女神を殺してしまったが、
 お前は殺さずに一生側にいてもらう!
 毎年一口だけ俺の為に血をくれればいいよ。
 オゾーはあれから血を欲しがんねえし、この事は仲間も知らねぇ。
 永遠に死なない夫婦ってのも、ありだなあ。なあ、アリアス!」

 





 .......続く。..........

BY-RUBY^^


   
by emeraldm | 2012-08-01 10:45 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO17

......追跡。......

 「チッ!」 
 
 レギオンは短く舌打ちをしました。
 アリアスを攫って行った海賊の乗る、オゾーと言う怪物は
 山の中の木立を隠れ蓑にしながら巧みに逃げて行きます。
 炎を吐きだそうにも、アリアスを人質に取られていてはそれも叶いません。
 巨体の竜の姿では木立の中に近づくことも出来ず、
 ただ、ちらちらと見える怪物の影を追いながら空から追跡するのみです。

 あいつは確かにアリアスの一族を知っていた。
 レギオンは嫌な胸騒ぎを抑えることが出来ませんでした。

 その頃、ローランも早馬でレギオンを追っていました。
 
 カルサス王子に海賊の襲撃を伝えたのはローランでした。
 ローランの報告後カルサスが慌ててアリアスを追い、時を置かずに傷付いたソレイユを城に運んで来た時、
 ローランはアリアスの身に何かが起こったのを感じました。

 「カルサス様。女王は!!」

 「ローラン!姉上は海賊に連れ去られた。
 王族として、私はこれから麓の町に行かねばならない。
 私の替りに、ローラン!女王を救出せよ!
 今、レギオンが追跡をしている。あの巨体は目印になるはずだ。
 居場所が分かったら必ず合図しろ。相手は怪物だくれぐれも無茶をするな。
 合図があればすぐに軍を出動させる」

 
 .....カルサス様。私の命に掛けまして女王をお救い申し上げます。............

 ローランは馬に落とされないよう手綱をぎゅっと握り、険しい山道を駆け抜けて行きました。


 カルサスの軍は町の大門を突破し、町の教会まで海賊たちを追い詰めていました。
 姉を目の前で攫われたにも関わらず、それを追う事が出来なかった怒りが、
若いカルサスに勢いを与えていました。
 海賊達は小さな女の子の人質を取り、教会の中に立てこもって時々発砲して来ました。
 教会の窓からは殺された町の人々が吊り下げられ、とても恐ろしい風景です。
 
 カルサスは人質の身を案じ、兵を動かせずにいました。
 すでに日は傾き始め、夕日が白い教会の壁を血の色の様に照らし始めました。
 町はあらかた焼き尽くされ、炎は白煙に変わりじりじりとした熱気だけが町を覆っていました。

 「やい!そこの偉いの!!話がある!!」
 海賊の一人が女の子に銃を突きつけ、こちらに一歩近づいてきました。

 「何だ!」

 「俺たちを船に乗せろ!浜に小船を用意させるんだ!」

 「お前たちを逃がすつもりはない!」

 「こいつがどうなってもいいって言うんだな!」

 「ママー。ママー!!」
 女の子はすすり泣いています。
 カルサスは歯噛みをしました。
 
 仕方がない...。
 
 そう思った時、思いも掛けずに誰かの熱い手が肩に置かれました。

 「ソレイユ殿?」
 びっくりして見つめている間に、ソレイユは杖を上げ、
 
 「オウランジュボトネ!」
 と唱えました。
 
 すると教会に吊るされていた多くの死体が動き出し、勝手にロープを解いて
ボトボトッと地上に落ちました。よたよたと血だらけの死体が歩き出すのを見て、海賊達は震え上がり、
死体に向かって発砲を始めました!
 パンパンパン!!いくら鉛の玉を打ち込んでも死体は死にません。
 あまりの恐ろしさに人質から銃をそらしたのを見て
 ソレイユは杖の一撃で海賊の手から銃を落とし、瞬時の動きで女の子を奪い返しました。
 「バリアラウリア!」
 間髪いれずに唱えると海賊たちは互いに発砲しあい恐怖に引き吊った顔をしながら
倒れて行きました。

 カルサスの兵士らも、あまりの成り行きに固まってしまい、まったく動けません。
 「これはいったい...」

 「最初の魔法は死体よ動けと、最後の魔法は互いに撃ち合えと」
 
 ソレイユは片手に抱いた女の子をカルサスに渡しながら言いました。
 カルサスはソレイユの顔を恐る恐る見ました。
 ソレイユの表情は明るく、まるで別人の様でした。

 「サウンディッドの援軍が現れたぞ~!!!」

 砦から伝令が走って来ました。


 突然周囲に風が巻き起こり、ソレイユの赤髪が舞い上がりました。 
 「ソレイユ様、アリアス王女の居所が分かりました!」
 悪魔の風ウィローが姿を現さずに告げました。

 「では、そこに連れて行けウィロー!」

 夕日の中、ソレイユの姿は一瞬で掻き消えてしまいました。

 


  ......続く。.......
   BY-RUBY^^

  

 
by emeraldm | 2012-07-31 19:30 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO16

......血の絆.......

 
 「ソレイユ殿、ソレイユ殿。しっかりして下さい。
 私が分かりますか?」

 カルサスの顔がぼやけて見えます。
 ソレイユはカルサスの計らいで、城の寝台に寝かせられていました。
 高熱を出し、意識は朦朧としています。
 
 「傷の縫合は終わりましたが、どうやらこの傷には毒が塗ってあったようですね。
 とにかく熱を下げなければ危険な状態です。」

 宮廷医のオオツノが言いました。

 「アリアスは?...」
 ソレイユが口を開きました。
 
 「ああ、良かった。意識が戻りましたか?
 今、姉上の行方をレギオンが追っています。
 ローラン卿も追跡を始めました。
 私はこの後、海賊共の略奪から町を守らなければならない」

 「俺も行く」

 「お起きになるのはまだ無理です。
 竜の毒が抜けきるまで医者としては安静に寝ていることをお勧めしたい。」

 オオツノが言いました。
 ソレイユは全身に汗をかき、赤い顔をしていました。

 「とにかく、これをお飲みなさい。お薬ですから...」

 オオツノはソレイユを起こすと、薬の入ったグラスを口に運んであげました。
 その薬を一口飲むと、ソレイユは又、意識を失ったように暗い空間に落ちて行きました。

 「毒消しです。一時ほどは目を覚まさないでしょう」

 オオツノはカルサス王子に言いました。

 
 
 カルサスが町に続く道に出て行くと、あちこちに火の手が上がり、
城へと続く通りはみな封鎖されていました。
 カルサスは騎士団の一人を見つけ呼び止めました。

 「シャウト!状況の報告をせよ」

 シャウトと呼ばれた背の低い太った騎士は、カルサス王子の前で敬礼をすると言いました。

 「海賊100名ほどが砦と反対方向の岩山を超え、知らぬ間にこの町に攻め入りました。
町の者達の大半は砦に逃れ、逃げ切れなかった者、反抗したものは殺されて町の教会に吊るされています。
 建物は火を掛けられ、木造の家屋の多くが消失いたしました。
 町の大門は閉められ、やつらに占拠されています。
 月丘、星丘の両砦は、海からの海賊船の砲撃と、町からの攻撃にさらされています。
 私とリルケは城に続く道の警備に配属されました!」

 「ご苦労、シャウト!騎士団はまだ機能しているか?」
 
 「私とリルケを除き、ローラン卿は女王様の追跡を、
星丘、月丘両砦には残りの騎士団のメンバーがおります」

 「よし!では、貴殿とリルケ殿は私の後方を援護してくれ、
これから両隊とも町に突撃して、海賊どもを殲滅する。
 我に続け!!」

 言うが早いか、カルサス王子は馬を走らせました。

 シャウトは急いで
 「皆の者~!カルサス王子に続けー!!」
 と、言いながら王子の後に続きました。




...... 血が、血が溢れている。
  赤い、暖かい血。むせ返るような血の匂い...。
  噴出す血飛沫の美しさ。
  俺は全存在を血に委ねる。
  全身を浸す赤。心地よい暖かさ。
俺の心は凍てついて、凍えそうに寒いから
赤い赤い血を求める。
  この身を浸す熱い血潮を .......


 「いけない!目覚めてはいけない!!」 
 

突然大声でソレイユが言いました。

 寝込んでいるソレイユを一人でかいがいしく世話をしていたソフィアは、
びっくりして寝台に駆けつけました。

 「ソレイユ様。どうなされました?」

 女王の傍使えのソフィアはソレイユの様子を伺いました。
 瞳は閉じられ、全身は汗だくです。

 「うなされていたのですね」

 ソフィアが後ろを向いたとたん。
又ソレイユがうわ言を言い始めました。

 「ソフィアさん。私の服と杖を持ってきて下さいませんか?」

 どうやら目を瞑ったまま話しているようです。
 しかも以前のソレイユとはどこか様子が違っているようです。
 ぞっとして振り向くと

 「貴方はどなたですか?ソレイユ様ですか?」
 ソフィアは思わず尋ねてしまいました。

 ソレイユは目をつぶったまま起き上がり、そっと瞼を開きました。
 ラベンダー色の瞳は穏やかに澄み渡り、彼は落ち着いた物腰で頷きました。

 
 「私はメテオール。残念ながらソレイユではありません」




.......続く.......

BY-RUBY^^


 
by emeraldm | 2012-07-31 06:56 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO15

.........レギオンとソレイユ.3........

アリアスの声にふいを突かれ、レギオンの剣が一瞬遅れました。
 ソレイユは草地を転がり、両刃の長剣は大地に深々と突き刺さります。

 「じゃまをするな!アリアス!!」

 レギオンが大地に突き刺さった剣を抜く間にソレイユは立ち上がり、
自分の剣を構えました。
 背中の傷が痛むのか、苦しげな表情をしています。

 「レギオン聞いて。この人には記憶が無いの。
今、貴方と戦って勝てるはずはないわ!!」

 「ほう。こやつは記憶喪失なのか?
どおりでセコイ魔法しか使えんと思ったぜ!
 そりゃ好都合だな。ソレイユさんよ!!」

 ソレイユは憎々しげにレギオンを睨みました。
肩で息をしています。

 「もうやめて!!」
 
 アリアスは駆け出してソレイユを庇いました。

 「そいつを庇うのか?」

 悲しげにレギオンは言いました。

 「レギオン!この方を切るなら私くしを切りなさい。
 相手の弱みを利用するなんて貴方は卑怯者よ!」

 「なんだと?俺を卑怯者扱いするのか?
 俺はお前の秘密を知っていて、今まで待っていたのだぞ!
 無理やりお前を手に入れることも出来た。
 だがそれをしなかったのはお前に嫌われたく無かったからだ」

 「貴方は卑怯よ。父と母を脅したあの時も、私くしの血の家系を利用した。
今回もこの方の弱みを利用しようとしているのよ!」

 「なんだと!
 お前の 呪われた家系の血なぞ誰が好き好んで迎え入れようと言うのか?
 人を吸血鬼に変えてしまう血族なんぞの受け入れ先が、我が一族以外他にあり得ると思っているのか?
 アリアス.ファウスト!!」

 ソレイユの背中からは生暖かい血がドクドクと流れていました。
 竜の爪で付いた傷の苦痛は刃のそれよりも酷く、
少し足元がふらつき始めました。それでも一歩前へ出ると、

 「そこを退いてくれないかアリアス。これは俺の問題だ!」
 と言いました。
 アリアスは傷付いたソレイユを抱きとめようと逆に一歩近づきました。

 
 「アリアス.ファウスト?ファウスト家の一族か?これは好都合だな」
 
 いつの間にかオゾーに乗った海賊王ロラージュが草地の隅に立っていました。

 「お前は!」
 
 レギオンが驚いた顔をしました。

 「このオゾーはな。ただの怪物ではないんだよ。
 島の岩壁をよじ登るなんぞ何てことはないのさ...。
 それよりいいのか?こんな所で仲間割れをしていて。
 麓の街を見てみろよ。煙が上がってんぜ!!」

 「姉上!姉上~!麓の町が海賊に襲われました。
 こちらも危ない、早くお城にお戻り下さい!!」

 カルタス王子が馬で駆けて来ました。
 一瞬の隙を突きオゾーが高く跳躍し、ロラージュはアリアスを片手で引き掴み、
そのまま草地の崖を飛ぶように降りて行きました。

 「アリアス!」
 「姉上!!」

 レギオンは竜の姿になり、ロラージュを追いました。
オゾーはことのほかすばしっこく、山や森を抜け、レギオンの追跡をかわしました。
 ソレイユはその場に頽れる瞬間に悪魔の風を呼びました。

 「悪魔の風ウィロー!アリアスを追跡せよ!」
 
 それからソレイユの意識は真っ黒な奈落の底に落ちて行きました。








..........続く。..............

BY-RUBY^^
by emeraldm | 2012-07-30 18:46 | 小説-赤髪のメテオール外伝 | Comments(0)

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