rubyの好きなこと日記 emeraldm.exblog.jp

創作人形  (サーニット / ポリマークレイ) 人形教室開講中♪ 店舗「アトリエ まみ」☆お問合わせはこちらのメールアドレスまでお願いします。kadooroo☆yahoo.co.jp(←☆を@に変換してね。)


by RUBY
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カテゴリ:-短編-( 3 )

短編~守護の森

始まりはいつの頃だったか
夢で迷い込んだ森の中に
見たこともないほど大きな枝振りの
真っ白な大木を見る事が多くなった

その大木は背の高い高齢の老人に守られていて
老人も又 白装束に白髪の白い人であった

最初の内僕は遠くからその大木と老人の様子をただ伺うだけだった
老人は絶えず大木へと気を配り
大量に繁る葉一枚たりとも落とすまいと
手に持ったステッキで風に揺れる一枚一枚の葉を撫でて宥めているようだった

老人のお陰で大木の葉は突風にも負けず
時々の微風に笑った様に僅かにそよいでいるばかりなのだ

時には老人がステッキを大木の根本深くに差し込み何やらぶつぶつと呟いている事もあったが
そういう時には決まって爽やかな優しい雨が降り注ぎ
大木に薄く虹が架かるのだった
その光景はとても清浄で神々しい物であった

夢の風景は段々と彼らに近づいて行った

大木が囁き老人が微笑む様子や逆に老人が囁き大木が笑った様に感じる事も
もっと近くに感じられるようになった

老人は絶えず大木の世話をし
ステッキを操り葉っぱ一枚落とす事が無い様にと気遣っていた

彼らは平和そのものであり
微笑みと奉仕は同じ物であった

老人と大木はまるで一つの命を分かち合い育んでいるようかのように見えた

ある時天がにわかに曇り 雷が鳴り響いた
見ると白い大木に黒い煙のような薄い影がまとわりついている

大木の葉はざわめき嵐が来たかのごとく逆立ち始め
悲鳴を上げながら 怒りを込めて激しく踊り出した
互いに叩きあい大量の葉っぱが悲鳴とともに散って行った

老人はなすすべが無く立ち尽くし
悲しげな目で大木を擦っているばかりだ

「一体その木はどうしたのですか」

ぼくは思わず老人に話しかけた
長い間彼らを知っている気がするが話しかけたのは始めての事だった
はっとした表情で老人は此方を見た

「病が彼らを蝕んでいる とても悪い病だ」

老人は悲しげに大木を撫でた

「彼ら?」
僕は尋ねた

老人は黙って叩き合う葉をステッキで指した

「忘却と言う名の病じゃ 
疑念は自らを蝕んでしまう
この大きな黒い蛇を見るがいい
全て彼らの作り出す幻なのだ
この世の果てには番人が居て幸福な時間は滞りなく過ぎると言うのに。。。」

僕は大木に絡みつく黒煙のような蛇と
下に積もって茶色く腐った無数の葉を驚きの目で見た
それはねじ曲がり悲惨な姿をした人間の様に見えた
更に繁る葉から落ちる木の実は容赦なく積もった死体の古い葉に穴を空けて行くのだ

老人の曇った瞳から一粒の涙が落ちた

「そろそろ最後のお役目かもしれないのお」

老人は僕を真っ直ぐに見た
老人の瞳は白く ちゃんと此方が見えているのか心配だった

「そなたは来るべくしてここに来たのだ そなたにわしのステッキを譲ろう」
そう言って、老人は真っ白な長い杖を僕に差し出した

僕が迷いながらもステッキを受け取ると老人はニッコリと微笑み

「では若者よ 後を頼んだぞ」

そう言うなり 白い大木に重なる様に消えて行った

老人が大木に吸収されると騒ぎが収まり
黒い蛇も
葉のざわめきも無くなった

後には涼やかな大気と
光りに満たされた白い大木が何も無かったかのように残された

僕はふと 自分が白い着物を着て白いステッキを持っているのに気付いた

瞬間 ぼくは何もかも理解したのだ

世界樹 それがこの木の名前

老人と僕の名は「守護」であった



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BY-RUBY
by emeraldm | 2013-10-03 13:12 | -短編- | Comments(0)


少年は暗い森の奥深くまで入って行った
帰り道は既に分からない
どうせ残して来たものに惜しいものは何も無かった
引き返そうとも思わない

少年は未来を夢見る事さえ無かった
暗い森に何かを求めてさ迷っているわけでもないが
それでも足を止める事は出来ず
ただひたすらに
何かに憑かれた様に歩いていた
獣の咆哮や気配を感じても
少年には恐れる心さえ無いかのようだ

どんどん道は険しくなり
藪の中を進み
やがて
崖道を登るしか無くなってしまった

黙って少年は崖道を登り始めた
白い砂で出来ている崖はポロポロと崩れやすい
足を踏み外せば命は無かった
それでも彼は登り続け
何故自分が崖を登っているのか
考える事もなく
だだそれが自分の責任かのごとく黙々と登り続けた

「Despair」は若い彼を捕らえる事は出来なかった
彼は何も考える事なくただ行動したからだ
本能の命じるままに

もしも
彼が危険な森に入らず家を出なかったなら
あるいはもし彼が振り向いてしまったなら
「Despair」は易々と獲物を捉えてしまった事だろう

今でも彼の足元に「Despair」と言う名の死神が貼り付いている
彼の心に少しでも隙を見つけて入り込んでしまおうと

しかし
彼は若く恐れを知らなかった
やがてなんとか崖の上に立つことが出来た
崖の上は何も無い岩山でとても狭い場所だったが
登ってしまえばとても素敵な場所の様に思われた
少年は家を出てから始めて安堵した

少年は崖の上に座り
今来た森を振り返った
そこにはすでに
「Despair」の影は無く
ただひたすらに長い道が続いているだけだった

爽やかな風も吹いている
少年は「Despair」の魔の手から逃れる事に成功したのだ

ふと気付くと
誰かが反対側の崖から登って来る気配がした
少年は駆け寄りその人に手を差しのべた

その人は少年と同じ位の年齢の少女だった
二人は微笑んで二人の出会いを祝福し
やがて二人揃って決心し
今度は違う道を選んで二人で仲良く
暗い森に通じる崖道を降りて行った

彼らを導いているのは「Hope」と言う名の風だった

   BY-RUBY^^

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by emeraldm | 2012-01-28 22:22 | -短編- | Comments(0)
 嵐の夜、
震える若い楡の木に隣の老樫の木が言いました。
「お若いの心配するでないぞ嵐は直ぐに過ぎ去るものさ」
すると嵐は直ぐに去りました。

 しばらくして干ばつになり、楡の木はこのままでは枯れてしまうのではないかとうなだれました。
すると老樫の木は再び言いました。
「お若いの絶望するには早すぎる。雨はもう直ぐそこまで来ているぞ」
すると直ぐに雨が降り始めました。

 楡の木は目を輝かせて大きな老木を見上げ、貴方は神のように全てをお見通しだと敬意を表しました。
老木は言いました。
「生きる事は苦を見れば苦なり。だが、苦は時を越えられず。
ワシは君より少し長く生きたからね」

 若い楡の木は年取った樫の木を見ました。大きな枝を張り、太い幹を持つ立派な樫の木は大変な年寄りで、何百年もの時を越えこの森を見続けて来ました。
全てを悟ったかのようなその風格に、楡の木は憧れを抱きました。

「樫の木老。貴方は死を恐れない。まるで死を超えてしまっているようだ」

 樫の木は答えました。
「若者よ。私とて死を経験したことは無い。経験のないことは不安だろう?
わしは沢山の時を経てきた。苦は時を超えられず、不安も又しかり。
しかし時を越えられるものが2つある。それは死をも超える事ができる。何だと思う?」

 楡の木は一生懸命考えました。
苦も不安も時を超えられない。その意味はいつまでも後ろ向きではいられないという事?
では、時を超えるものってなんだろう?
苦の反対は楽だから、楽しみ?いや違うな、楽しみも時を超えられない。
なんだろう?それに死をも超えるものって...。

「分からんか?な。わしより君たち若者の方がいっぱい持っているはずのものじゃ」

 そう言うと、樫の木は、ずずずと大きくかしぎました。
楡の木はびっくりして、思わず大声を挙げました。

「樫の木老。大丈夫ですか?いったい御身に何が起こっているのですか?」

 樫の木は微笑み、なお一層かしぎました。
「若者よ。もう側に時が来ておる。だが、わしは大丈夫じゃ。時を超えるものを持っているからじゃ。
それより答えは分からんか?」

 楡の木は泣きそうになりました。尊敬する樫の木に死の影が迫っているのです。

「どうぞお許しを、私には皆目分かりません」

 樫の木は、ずずずと崩れながら、はははと愉快そうに笑いました。

「その答えの一つは好奇心。そしてもう一つは...ああ。時が来てしまった。
さらばじゃ。若者よ...」

 そう言って樫の木の体は、ずどどどと大きな地鳴りとともに崩れ落ちて行きました。

「樫の木老!」
 楡の木は叫びましたが砂埃と振動でどうすることも出来ずに、ただ茫然と立ち尽くしていました。
 大きな樫の木の崩壊は森中にこだまし、森の動物たちが騒ぎ始めました。

「老樫が亡くなった。300歳だったよ。」
「ああ、じゃあ僕たちはもう、あのおいしい実を分けてもらうことが出来なくなるんだ。
冬籠りの為にあの樫の木は僕たちにいっぱいの実をくれたよ。なんて悲しいんだ」
「あのおじいちゃんはいい人だったよ。いつもお話を聞かせてくれたよ。一夜の宿も提供してくれた」
「ああ、ああ。なんて悲しいんだ...」

 楡の木は悲しみました。でもこの苦しみは続かないことも知っていました。
森の獣たちも、時がたつにつれて老樫の木の死を忘れていくことでしょう。

「あれ?樫の木老がいた場所にまだいっぱいどんぐりの実が落ちているよ」
 
子リスがちょろちょろと樫の木の残骸の上に集まり始めました。

「本当だ。樫の木老は僕たちにお土産を置いて行ってくれたんだね」

「どれどれ。ほんとだ。こっちの実は若葉が出てるぞ。
あ。ここにも、いっぱいあるぞ!」

 楡の木は最後の樫の木の言葉を思い出しました。 
時を超えるもの。それは好奇心。そして...。
 子リスが叫びました。

「あ。この若葉はあのおじいちゃんの生まれ変わりじゃあないのかな?
僕たちにも希望があったんだね」

 楡の木は子リスの指さしている若葉を見つめました。

「ああ。樫の木老。最後の答えがわかりました。
時を超えるものは好奇心。そして希望です。」

 その後。楡の木は沢山の齢を重ねました。
そして、隣の若木に時を超える2つのものを教えると
満足の微笑みとともに崩れ去りました。
後には小さな若葉が残っているだけでした...。
  
    
....... END ............... BY-RUBY^^
by emeraldm | 2011-10-29 22:42 | -短編- | Comments(6)