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rubyの好きなこと日記

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO14

 
 ......レギオンとソレイユ.2......

 城から少し離れた高台の草地にレギオンは立ちました。
 目の前に見下ろすメイルーンの町並みや田畑。その先の海原。
 海岸と砦の様子もここではチェスの駒のように見えます。
 月丘砦と星丘砦、それをつなぐ海岸線。この島を取り巻く険しい岩山。
 キラキラと光る水面の先に、黒く固まって見えるのは残った海賊船の船団です。
 今はお互いに動きは無く、ただ船団は不気味に海に漂うばかりです。
 ピィピィチチチ。鳥の声が聞こえ、涼やかな風がレギオンの髪を揺らしました。

 「ここから見ると平和そのものだな。
 人間の争いなぞ、自然の者たちにとっては何の意味も無い...」

 「何が言いたいんだ」
  
 ソレイユが後ろから問いかけました。
 レギオンは振り向いてソレイユをまじまじと見つめました。

 「あの戦い...。お前はソレイユと言う魔法使いであろう?
 竜一族の長。最強と言われたオーヴを倒した男...。
 しかし、先ほどの戦いぶりは何だ?
 お前が本物のソレイユであれば、海賊なぞ物の数では無いはずだ。
 赤髪のソレイユは東の竜王国を一人で壊滅させたと言うではないか?
 女の恰好をして騙し討ちなんぞ似つかわしいとは思えない」

 「あいにく俺は、勝つために手段を選ばない男でな」

 「お前は本当にソレイユなのか?俺にはそうは思えない」

 レギオンとソレイユは睨みあいました。

 「しかし、お前がソレイユを名乗っている以上。俺も見過ごす訳には行かない。
 ここで俺と勝負しろ」

 「意味のない争いは好まないんだが」

 「お前に無くとも俺には十分すぎるほどの意味があんのさ。いざ!」

 レギオンはその腰に差した長剣を抜きました。

 「いざ!」

 ソレイユも剣を抜き構えました。
 ビュッ!!レギオンの剣がソレイユの右の顔をかすめました。
 ものすごい風圧です。レギオンの剣は幅の広い両刃の剣で、当たれば骨を砕きます。
 通常の人間には持ち上げる事も出来ないぐらい重いものでした。

 ソレイユは身の軽さと柳のように軽い剣でレギオンの刃をかわし、見事に隙をついて
レギオンの左脇腹に軽い傷を負わせました。
 レギオンはそれに少し驚いたような顔をしましたが、今度はソレイユの足を薙ぎ払いました。
 ソレイユはレギオンの刃を飛び越え、頭頂めがけて剣を振りおろしました。
 すばやく、レギオンは両刃の腹でそれを受け止め、ソレイユを突き飛ばします。
 ソレイユは軽々と宙を飛び、少し離れた場所に着地しました。

 「本当に小賢しい奴だ!!」
 
 レギオンの体がむくむくと大きくなり、濃い紫色の大竜がそこに現れました。
 鼻ずらからは白い煙が上がっています。
 竜は翼を広げ、空中に舞い上がりました。

 「お前を焼き殺してくれるわ!!」
 
 草地のソレイユに向かって、火炎が放たれました。
 間一髪で飛びのいたソレイユに、今度は竜の爪が襲い掛かりました。
 シャッと言う音がして、ソレイユの背中が切り裂かれました。

 思わず呻いてうずくまると、レギオンは人の姿に戻り、
ソレイユの前に立ち、このまま一気に切り裂こうと剣を天に構えました。

 「まって!レギオン!!」

 アリアスの声が草地に響きました。



...................続く。............................

BY-RUBY^^
by emeraldm | 2012-07-30 10:28 | 小説-赤髪のメテオール外伝

突然の乳癌ステージ4の告知から人生計画が変わってしまったRUBYのブログです。少しでも誰かの役に立てるように、闘病生活を綴ります。

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