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rubyの好きなこと日記

小説ー赤髪のメテオール 外伝 「黄金の島」...NO8

 ......夜明け前.1......

 夜明け前にアリアスはベットの中で目覚めました。
一瞬、何が起こったか分からずに驚いて布団をはねのけ、額に手を当てました。

 「姫様。お目覚めですか?」
ソフィアの声が扉の外から聞こえました。
 「朝食をお持ちいたしました。入ります」

 「ソフィア?私くしは眠ってしまったの?昨日はソレイユ様とお話していたと思っていたのですが?」

 側使えのソフィアはふっと微笑みを浮かべました。

 「あの方はあれからすぐに港に向かいました。どうやら姫様を魔法で眠らせたようですね」

 「眠らせた?あの方は記憶が無くなってしまったのではなかったのですか?」

 「何がなんだかソフィアには分かりませんが、あの方が姫様の部屋から出ていらして、
姫様がお眠りになっているのでそっと寝仕度をさせてくれと言われるのです。
 朝方には目覚めるようにしてあるから心配するなと。
 それから、こうも言われました。
 事情は承知したが、私が戻るまで無茶をされるなと伝えて欲しいと」

 「あの方が・・・・・・」

 アリアスの心は不安と期待の狭間で揺れました。

 「姉上、起きておられますか?」

 弟のカルサス王子が現れました。
 すでに軍服を着用して戦闘に備えています。

 「よくお眠りになられましたか?姉上」
 
 カルサスは気遣うように微笑みました。

 「ええ。すっかり元気になったわ、カルサス。
ガルガンドイドの動向は分かりましたか?」

 「いえ。まだ伝令からは何も報せが届きません。
私もこの後すぐに前線に出動いたします」

 「カルサス。くれぐれも気を付けて下さい。
貴方に何かあったら私くしは生きては行けません。
 それと、あの赤い髪の客人はソレイユ様よ。
きっと貴方を助けて下さるはずです。
くれぐれも失礼の無いようにね」

 「ソレイユ?あの大魔法使いの??確か行方不明になったのでは?」

 「そう、あの方はソレイユ様。どうやら記憶を無くしているようだけれど、
あの方の記憶が戻って来れば、メイルーンを救って下さるかもしれません。
 昨晩、取り乱した私くしを魔法で眠りにつかせて下さいました。
どの程度の力が残っているのかは分かりませんが、
 あの方によく従って下さいね。
 カルサス、これは女王命令です」

 「そうでしたか。竜退治のソレイユ様であるならばあるいは...。
ところでいずこに居られるのですか?」

 「すでに港に向かったようです。
カルサス。戦況は逐一報告して下さいね。」

 「はい。それでは、姉上。カルサスは出陣いたします。姉上に幸運を!」

 「カルサス。貴方もね」

 夜明けを待たずに、カルサス王子は足早に去って行きました。
 幼かった弟のカルサスはいつしか立派な軍人となり、
アリアスは無事を祈る事しか出来無い女の身を呪いました。

 ......そう。女の私くしに出来ることは一つしかない。だけど.......

 「私が戻るまで、無茶をされるな」
 
 ソレイユの鋭く冷たいまなざしが思い出されてなりませんでした。

 
...........続く。..................

 BY-RUBY^^

 
 
by emeraldm | 2012-07-26 15:26 | 小説-赤髪のメテオール外伝

突然の乳癌ステージ4の告知から人生計画が変わってしまったRUBYのブログです。少しでも誰かの役に立てるように、闘病生活を綴ります。

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