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rubyの好きなこと日記

NO10。......オンブル教......


......オンブル教について教えておくれ......

 そう唱えながら、メテオールは深く魔法使いの瞑想に入って行きました。
 何故か? ウロコ島が見えます。島の遠景から吸い込まれるように竜王の城に近づき、そうして、大窓からどこかの部屋へと入って行き、壁にかかった絵画の後ろの取っ手をひねり、壁から人一人入るのがやっとぐらいの小さな隠れ部屋を開きました。
 そこには窓も無く、小さなテーブルと椅子が置いてあるのみです。テーブルの上には小箱が一つ。竜が絡まりあう見事な彫刻品ですが、回りは何十にも鉄製の鎖が巻いてあり、鍵がかかっていました。
 メテオールは何者かの視点でその小箱を見つめています。
 ただ、その何者かが小箱の鉄製の鎖をバリッっと音をさせて引きちぎった時、少なからず驚きました。この者は盗人のようです。しかも大変な怪力の持ち主。
 この盗人は小箱から青い珠を取り出し、満足そうに眺めていました。それからおもむろに秘密部屋を出て、部屋の大窓から大胆にも飛び出しました。
 大きな翼の音がします。犯人は竜一族なのでしょうか?
 
 場面は変わり、かがり火が炊かれた夜になりました。黒い頭巾を被った大勢の人たちがいます。どこかで異国の祈りの言葉が歌うように読み上げられ、知らない楽器が打ち鳴らされていました。
 祈りの言葉を唱えているのは、かがり火の向こうに座っている僧侶のような身なりの者。殆どが黒服なのに対し、彼は真っ白なフード付きのローブを着ています。
 僧侶は人々と反対の方向の祭壇に向かって何か儀式をしており、こちらには後姿しか見えません。
 祭壇の向こうには黒々とした異形の怪物のような像が立っており。メテオールはそれをもっと良く見ようと近づきました。
 いきなり、僧侶が振り向きました。派手な濃い化粧をした女性の様です。フードを被っていますのでその表情は分かりませんが、その右手には捌いたばかりの人間の目玉が高々と掲げられていました。白いローブは血で真っ赤に染まっています。
 人々は歓声を上げ、僧侶はその目玉を呪文とともにかがり火にくべました。
 ボワッと火の勢いが上がり、炎の中から何かうごめく者が現れました。
 その者は燃える手でメテオールを指さし、僧侶の顔がひどくゆがんだと思うと、何事か叫びだし、こちらに駆けて来ます。黒い一団もこちらに気付き、迫ってきました。
 もう少しで取り囲まれ、捕まる寸善で、メテオールは目を覚ましました。あらかじめ、危ない時は目を覚ますようにまじないをかけているのです。
 それにしても、瞑想中に気付かれるとは、いったいどういう事なのでしょうか? あの僧侶も魔法使いなんでしょうか? ウロコ島から盗まれた物と何か関係があるのでしょうか?

......シュルシュに連絡してみなければ。......

 メテオールは小さな石版を取り出し、指でなぞりはじめました。

..................続く。.........................




 
by emeraldm | 2010-08-24 17:50 | 小説- 赤髪のメテオール(2)

突然の乳癌ステージ4の告知から人生計画が変わってしまったRUBYのブログです。少しでも誰かの役に立てるように、闘病生活を綴ります。

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