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rubyの好きなこと日記

父と母の物語。。NO22.....最後の戦い.......


 モーヴェは、一人の魔法使いが、こちらに向かって飛んでくるのを見つけました。
 赤い髪の男.....。
 すぐに先手を打つために上空高く舞い上がり、その男めがけて急降下しました。
 すんでのところでかわされて、体勢を立て直し、再び襲い掛かり、二人はもつれるように空を舞っています。
 するどい爪で鷲づかみにしたと思うと、その男はほうきの柄をうまく操り、爪は空を切り、消して捕まえることが出来ません。
 モーヴェはその男に向かい、竜の炎を吐きました。男は真正面からそれを小さな赤い宝剣で受け止め、こちらに返してよこしました。
 自分の炎を返されて、一瞬逃げるのが遅れ、モーヴェの翼の一部が焦げ付きました。その痛みに、モーヴェは苦しげに咆哮を上げ、憎憎しげに男をにらみつけました。
 周りの竜達は、二人のあまりに激しく、素早い動きに、唖然と見守るばかりです。

「黒竜。モーヴェ殿。聞こえるか!」

 突然、男が大声を上げました。

「話があるんだ。」

 モーヴェは自分の名を知っている赤い髪の男に少し驚き、その動きを空中で停止させました。

「赤髪の者よ。お前は誰だ。姫をどうした! 今すぐに姫を帰してもらおう」

 モーヴェは恐ろしげな重低音の声で言いました。

「さもなくば、この城ごと、人間どもを焼き尽くす」

 男はほうきにまたがり、とても神妙な顔で空中に停止しています。周りの竜達も、事の成り行きをじっと見守っています。
 緊張した空気が流れました。

「私の名は、メテオール。赤髪のソレイユの子孫。姫は私が預かっている。話し合いを希望する」

モーヴェは鼻で笑いました。

「おかしなことを言う、メテオールよ。人間と話し合えと。力の無い人間どもと?
そもそも、ここは我等の土地。盗み出したのは人間の方だ。ソレイユという貴様の先祖のせいでな。
盗まれたものを取り戻して何が悪いのだ」

 メテオールは考えました。モーヴェの言うことももっともな事です。この土地は、そもそも、竜やトロールのものだったのです。そこに邪な人間の欲望が入り込み、彼らを衰退に導いた。

「赤髪のメテオール。貴様の先祖の話は知っている。
貴様は再び、我等の姫をたぶらかし、昔と同じように、我等を破滅させようとしている。
それだけは許せん!
皆のもの、集まれ。こやつは一人だ。大勢で引き裂いてくれるわ。かかれ!」

 その言葉を合図に、周辺にいた竜達が一斉にメテオールにかかって来ました。
 メテオールはそれをかわしながら、なおもいっそう激しくなる攻撃に、一瞬の油断も出来ずにいました。
 逃げて、かわして、炎を宝剣で受け止めて、しかし、彼は自分から攻撃をしませんでした。頬や腕にはかわしきれずに付いた裂き傷や、火傷の後がどんどんと付いて行きます。

「話し合いを!」

 逃げながらも、メテオールは何度も叫びました。このままでは持たない。

 ひときわ大きい咆哮がしました。
 見ると、ウロコ島の方から、今まで見てきた中で、一番大きい白い竜が、こちらに向かって飛んで来ます。
 その様子に気付いた他の竜は、攻撃の手を止め、そちらの方向を見つめました。

 日が沈みかけ、夜がそこまで来ていました。。。

.....................続く。.....................
by emeraldm | 2010-08-04 11:18 | 小説- 人と竜の結婚 (1)

突然の乳癌ステージ4の告知から人生計画が変わってしまったRUBYのブログです。少しでも誰かの役に立てるように、闘病生活を綴ります。

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